![]() |
サイトマップ |
![]() |
![]() |
本日ここに、ご来賓ならびにご家族のご臨席を仰ぎ、平成20年度岡山大学卒業式及び大学院学位記授与式を盛大に挙行致しますことは、本学にとりまして慶賀の至りであります。 本日は、卒業生ならびに修了生諸君の岡山大学における研鑽の成果が、皆さんの履歴に輝かしく刻印される記念すべき日であります。誠にお目出度いことであり、本学を代表して心からお祝いを申し上げますと共に、これまでご支援いただきましたご家族や関係各位にお慶びと御礼を申し上げる次第です。 本年度、本学の学部等の卒業生は2,397人、大学院の修了生は1,072人、総勢3,469人の多きに達します。本学が、これだけ多数の逸材を育成し得たことを、学長として大変誇りに存じておりますと共に、指導に当たられた本学教職員一同に改めて御礼を申し上げます。 本日を期して、社会人になられる諸君はもとより、上級課程に進学される諸君も、それぞれ新たな環境に身を置かれることになります。この節目にあたり、諸君に改めてお話しておきたいことがあります。 私たちの人類社会は、有史以来、自らの知的活動により得られる成果を集積・継承し、さらに研磨することにより、高度な技術を産みだし、あるいは社会システムを整備させながら、人類社会を発展させてきました。しかし、21世紀の今日に至っても、いまだ世界には食料の不足、エネルギーや資源の枯渇、環境の破壊、あるいは国家や民族間、宗教間に横たわる厳しい対立、貧困や人格否定など、解決していかねばならない課題が数多く存在します。 これら難問を解決するためには、新たな人智を創成し、適正に活用していく以外に道はありません。このことから、本学は、法人化という大学の再構築に当たって、その目標として、「人類社会の持続的進化のための新たなパラダイム構築」を掲げ、この国、さらには世界の発展に欠かすことができない、より高度な知の創成とそれを社会において利活用しうる有意の人材の育成を目標として鋭意実践してきました。忘れてはならないことは、国立大学である岡山大学は、多額の国費の支弁を受けながら、専らこのような課題を解決するために設置された公的な機関だということです。岡山大学に学ばれた諸君は、常にこのことを意識し、主体的に我が国や世界のかかえる諸課題に立ち向う気概を持ち続けて欲しいと願っています。 岡山大学で学ばれた諸君は、今後、社会のさまざまな場面や時期において必ずや先導的、指導的な立場に立つことが求められます。高い評価を受けつつ人の前に立ち、人を導くことは決して容易なことではありません。その日に備えて、諸君が今日より、智慮深き賢者になるべく努力して欲しいと願ってます。賢者の第一要因が諸君の学ばれた専門領域における優位性であることは論を待ちません。未だ諸君の学識は十分とはいえませんが、諸君は、すでに本学においてしっかりとその基礎を身につけられているので、何ら心配してはいません。 しかし、知識だけでは智慮のある賢者とはいえません。優れた専門性、幅広い知識に加え、他から尊敬を集めるにたる高い人格をも兼ね備えた人物でなければ、社会において指導的な役割を果たしていくことはかないません。どのようにして人格を高めるかについての道筋は個人によって当然同じではないでしょう。しかし、その基本は同じです。それは、人として生を受けた以上、決して他人に恥じることのない倫理性を身につけることを自らに課しつづけ、その高い倫理性に裏付けされた価値観を築きあげるべく努力する以外にないと私は考えています。如何に倫理性を磨くか等ということは、教育機関も含め他者にはできない内面的な作業です。とりわけ明日から諸君が身を置く実社会には、支援システムは有りません。諸君は自らの意識と努力によってこれを達成していかねばなりません。経験も少なく、不安もあるでしょうがそれが真の自立への唯一の道です。 周知のとおり、最近、国際経済は、それ自体が目的化した無意味、無謀な金融操作、マネーゲームにより本来の機能を失い、世界は未曾有の大混乱に陥っています。これはひとえに倫理性を欠いた関係者、賢者とはほど遠い愚者の集団の行為に起因するものです。今後とも人類社会は、経済だけでなく、さらに複雑で困難なさまざまな課題を抱えることになるでしょう。 人間社会が万古不易でないことは歴史が示しています。社会が変わるとき、また変えねばならなくなった時、その社会がどれだけ優れた人材を有しているかは、その後の社会の有り様と密接に関係するものです。わが国は、かつて経験した、明治維新や太平洋戦争敗戦という国の存亡にも関わる大変革を、世界史上においても希に見るほど見事に乗り切り、今日のわが国の発展の礎を作り上げてきました。それを可能にしたのは、何よりもこの国に優れた人材、賢者が存在したからです。 今後とも、わが国をどのような国にするのかは、諸君の世代が主体的に関わり、決めていかねばなりません。岡山大学に学ばれた諸君が、高い専門性に加え、強い使命感と共に錬磨された高い人格を併せ持ち、次の日本や世界の発展のため果敢に挑戦され、後世の社会からも高い評価を受けられる人物になられることを期待して止みませんし、諸君は必ずやこの期待に応えてくれるものと信じています。以上、まなびやを巣立たれる諸君への餞とします。 |
![]() |
|||||
平成21年3月25日 国立大学法人 岡山大学長 千 葉 喬 三 |
戻る | ![]() |
![]() |
![]() |
|
大学へのアクセス|プライバシーポリシー|お問い合わせ | ![]() |