国立大学法人 岡山大学

LANGUAGE
ENGLISHCHINESE
MENU

革新的なウイルス対策で地域養鶏畜産業の保護・活性化を図る~第14回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォームを開催~

2016年03月31日

 本学と鹿児島大学、独立行政法人産業技術総合研究所は3月30日、今までにない技術によって地域の養鶏畜産業の保護と活性化策を考えるワークショップ「第14回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム 家禽・家畜のウイルス対策と地域養鶏畜産業の保護・活性化のために」を、鹿児島大学工学部稲盛会館(鹿児島市)で開催しました。
 農林水産の現場では、さまざまなウイルスによって経済的・社会的な損失が発生しており、世界的に大きな問題となっています。また自然界の動物、植物も失われることが多く、自然・環境問題ともなっています。これらの状況を打開するため、さまざまなウイルス感染から動物、植物を守る早期診断法や感染防止の薬剤などの研究開発が強く求められています。
 本プラットフォームでは、農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」において研究拠点を務める本学と、補完研究機関である鹿児島大学や産業技術総合研究所が密に連携し、理学と工学、農学、獣医学、畜産学などの異分野融合研究から生まれる今までにない家禽・家畜ウイルス対策のあり方について、当該分野の研究者らが叡智を共有化することで効果的な研究開発や社会実装の強化促進を図りました。
 具体的には、まず同事業でコンソーシアム・プログラム・マネージャー(研究管理総括役)を務める佐藤法仁リサーチ・アドミニストレーター(URA)が、同事業で取り組んでいる本学ならびに補完研究機関の研究開発について紹介。鳥取大学農学部獣医学科の伊藤壽啓教授は、家禽保護の視点から「高病原性鳥インフルエンザと野鳥との関わり」と題して、農事組合法人清和畜産獣医師兼イデアス・スワインクリニックの菅谷(早川)結子院長は、家畜保護の視点から「養豚生産と感染症対策について」と題して、それぞれ最前線の現場で得られる最新情報と保護策のあり方について、具体例を挙げて紹介しました。
 パネルディスカッションでは、同事業の補完機関代表研究者を務める鹿児島大学大学院理工学研究科の隅田泰生教授が、同大学共同獣医学部の小澤真准教授や産業技術総合研究所関西センターの永井秀典主任研究員らと開発を進めている「ナノテクノロジーとラップトップ型PCR測定機による正確・超高感度・簡便検出法の開発」について、現状を報告。さらに理工学的視点から家禽・家畜現場で使える早期ウイルス検査機器の開発についても紹介しました。単なる研究開発だけではなく、養鶏畜産業が盛んであり、かつわが国有数の渡り鳥の渡来地でもある鹿児島地域における防疫システムの構築(鹿児島モデル)のあり方について、参加した研究者や畜産業関係者らと熱心に議論を重ねました。
 閉会のあいさつでは、同事業の研究拠点代表者を務める本学大学院自然科学研究科(工学系)の世良貴史教授が、異分野融合共同研究の強化促進から、地域社会を守りつつ活性化していけるように更なる研究開発の加速を目指していくと述べました。
 なお、本ワークショップは、本学が研究拠点(代表研究者:本学大学院自然科学研究科(工学系)の世良貴史教授)を務める農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」において得られた最新研究の叡智を社会に広めるために実施する「革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム」の取り組みの一環として実施されました。今後も農林畜産水産分野や社会を革新する研究開発を精力的に押し進め、社会実装を目指します。

農林水産省革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)://www.okayama-u.ac.jp/user/ibunyapj/index.html

<参考:革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム(過去5回)>
第9回 革新的技術でウイルス感染から家畜を守る-日中叡智共有化ワークショップ2-(2016年3月5~8日)
第10回 革新的技術でウイルス感染から家畜を守る-日中叡智共有化ワークショップ3-(2016年3月8~9日)
第11回 革新的早期検査法とワクチン開発で牛白血病ウイルス(BLV)から牛を守る(2016年3月15日)
第12回 植物防疫の最前線~異分野融合共同研究によるウイルス対策~(2016年3月20日)
第13回 園芸学とウイルス学の異分野融合研究会(2016年3月25日)

【本件問い合わせ先】
大学院自然科学研究科(工学系)教授 世良貴史
(革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム事務局)
TEL:086-251-8194

(16.03.31)


年度