国立大学法人 岡山大学

LANGUAGE
ENGLISHCHINESE
MENU

世良教授「革新的技術開発・緊急展開事業(経営体強化プロジェクト)」に採択

2017年04月20日

 農林水産省の平成27年度補正予算及び28年度補正予算において措置された「革新的技術開発・緊急展開事業」の中で、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センターが事業実施主体として行う「経営体強化プロジェクト」の審査結果が3月27日発表され、本学大学院自然科学研究科の世良貴史教授の課題が採択されました。
 本プロジェクトは、国が定めた技術戦略に即した開発目標に向かって研究勢力を結集し、農林漁業経営体の参画の下、現場での技術実証を踏まえた技術開発を実施し、速やかな社会実装を目指す実証研究です。
 世良教授は、「プラムポックスウイルスの検知、予防および治療法の開発」という課題で採択されました。プラムポックスウイルス((Plum pox virus ; PPV、ウメ輪紋ウイルス)は、サクラ属であるウメやモモ、スモモ、アンズなどに感染します。感染すると木を伐採するしかなく、農家の経営上、極めて深刻な打撃を与えます。また観梅の観光文化にも大きな被害をもたらしており、観梅の名所であった東京都青梅市の吉野梅郷では、感染によりすべての梅の木が伐採されています。これ以上経済的・文化的な損害を出さないためにも、根本的なウイルス対策技術の開発が喫緊の課題となっています。
 世良教授らは、平成28年度まで実施されていた「農林水産省革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」において、異分野連携のもと、様々な革新的な技術開発行ってきました。特に、標的ウイルスの遺伝情報である「ゲノムRNA」を短時間で切ることのできる “人工のハサミ”「人工RNA切断酵素」の開発に世界で初めて成功した事例は、PPV対策にも大いに役立つものと期待されます。
 世良教授は今回の採択を受けて、「私たち岡山大学が世界に先駆けて開発したウイルス不活性化技術を活かして、社会と経済活動に深刻な被害を与え続けているPPV問題について、根本的な解決に貢献して行きたい」と抱負を述べました。
 今後、連携している自治体や企業、研究機関と共に革新的なPPV対策技術を開発し、経済的・文化的損害を食い止め、産業力の強化促進と観梅文化の後世への継承を行えるようにして行きます。

【本件問い合わせ先】
大学院自然科学研究科(工)教授 世良貴史
TEL:086-251-8194

(17.04.20)


年度