国立大学法人 岡山大学

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大学院社会文化科学研究科文明動態学シンポジウム「モニュメントから見る文明動態論」を開催

2018年03月02日

 本学大学院社会文化科学研究科は2月24日、岡山シティ・ミュージアムで文明動態学シンポジウム「モニュメントから見る文明動態論」を開催しました。
 開会に先立ち、文部科学省学術機関課の西井知紀課長と、本学大学院社会文化科学研究科の田中共子研究科長によるあいさつがありました。その後、愛知県立大学の杉山三郎特任教授、国立歴史民俗博物館の松木武彦教授による講演や討議がありました。
 杉山特任教授は「テオティワカン考古学の近況 -モニュメント、儀礼、戦争と都市生活-」と題して講演。テオティワカン(メキシコ)の最新の調査結果にもとづいて、太陽のピラミッド、月のピラミッド、羽毛の蛇神殿という3つの主要なモニュメントが、独特の暦システムと尺度に基づく綿密な都市計画に基づいて建造されていること、宗教センターとしてマヤ地域など周囲の多様な民族との交流があったことなどを説明しました。
 松木教授は「文明動態論からみた日本列島の古墳時代 -都市なき初期国家の謎-」と題し、古墳研究の最新の国際的動向などを紹介。日本列島の古墳が世界有数の規模と密度を誇るモニュメントであること、高さを持ち、特定の個人と結び付けられるという階層化した社会によくみられる墳墓型モニュメントであること、山城などの防御施設がみられないことや都市が発達しないことと古墳築造への多大な労力の傾注とが関係しているという説が提示されました。
 討議では、本学大学院社会文化科学研究科の松本直子教授が司会を務め、杉山特任教授と松木教授がテオティワカンと古墳時代日本列島との共通点や相違点について活発に議論を交わしました。テオティワカンを含むメソアメリカにおける国家形成期と、日本列島の弥生・古墳時代は、時期的に重なっていますが、都市型のモニュメントを中心とするメソアメリカと墳墓型モニュメント主体の日本列島では、儀礼空間の作り方や時空間認識のあり方に差異があったとの報告がなされました。現代までに発達した技術、複雑な社会組織、豊かな芸術は、人類に繁栄をもたらしましたが、同時に環境破壊やさまざま社会問題も生み出しています。現在の危機的状況を打開するためには、これまでとは違う新たな価値観、世界観の構築が必要であり、そのためには、文明がどのようにして形成されてきたかを、長期的な視座と学際的・国際的な分析によって明らかにすることが必要であろう、という認識を共有して討議を終了しました。
 県外からの参加者、地域の関連施設の方々など73人が参加しました。

【本件問い合わせ先】
大学院社会文化科学研究科 副研究科長・教授 田口雅弘
TEL: 086-251-7547

(18.03.02)

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