国立大学法人 岡山大学

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藤村助教(医)が「平成30年度次世代がん医療創生研究事業」に採択

2018年11月08日

 本学大学院医歯薬学総合研究科(医学系)細胞生理学分野の藤村篤史助教が11月2日、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「平成30年度次世代がん医療創生研究事業」に採択されました。
 同事業は、日本発の革新的な診断・治療薬の開発を促進するため、基礎研究の有望な成果を厳選して、次世代のがん医療を創生することを目指した研究を強力に推進するものです。全く新しい視点によるがんの治療薬や診断法の開発に直結するような基礎研究のシーズを、実用化を目指した研究開発段階にまで推し進めることを目的としています。今回、藤村助教は同事業の「がん創薬シーズやバイオマーカー候補の探索に資する新規アプローチを含む標的探索研究」の分野で採択されました。
 藤村助教は「tRNAエピトランスクリプトーム創薬※1で実現するがん幹細胞※2標的型抗がん剤の開発」(研究期間:平成30~31年度)という題目のもと、研究開発代表者を務めます。この研究は、従来の遺伝子発現解析だけでは解らなかったがん幹細胞特有のタンパク質合成の分子メカニズムに着目し、それを選択的に阻害する薬剤を開発することで、これまでになかった「tRNAエピトランスクリプトーム創薬」という概念を提唱し、「がん幹細胞標的型抗がん剤」を世界に先駆けて開発することを目指すものです。
 今回の採択を受けて藤村助教は、「tRNAエピトランスクリプトーム創薬という全く新しい理論を一から構築することは大きなチャレンジになりますが、これまでにない画期的な抗がん剤を開発するために、多くの研究協力者とともに研究に邁進してまいります」とコメント。2年間の研究活動に意欲を見せました。
 なお、藤村助教はAEMDの「平成30年度革新的がん医療実用化研究事業」にも採択されており、がん研究の若手研究代表者として、精力的に研究開発を進めています。今後本学は、“岡山大学発”の抗がん剤が、新しい創薬化学の分野を開拓するとともに、がん治療法のパラダイムシフトに直結するようなマイルストーンとなるよう、本事業を強力に推進していきます。


※1 tRNAエピトランスクリプトーム創薬
tRNAによるタンパク質合成制御機構を標的とした創薬のこと。がん細胞は、正常細胞にはないタンパク質合成機構を獲得することで、治療抵抗性や転移能などを促進していることが知られていましたが、その詳細な分子機構は不明でした。藤村助教が代表を務める研究チームは、tRNAによるタンパク質合成制御がその要諦であることをつきとめ、これを標的とする創薬概念を「tRNAエピトランスクリプトーム」と命名しました。

※2 がん幹細胞
がん組織を維持する元凶となる特定のがん細胞集団。治療抵抗性や浸潤・転移能が高く、がんの病勢を左右する因子として、これを標的とする創薬が世界中で試みられています。


<参考>
藤村助教の研究が「平成30年度革新的がん医療実用化研究事業」に採択(2018.10.18 岡山大学新着ニュース)


【本件問い合わせ先】
大学院医歯薬学総合研究科(医学系)助教 藤村篤史
TEL:086-235-7105

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