国立大学法人 岡山大学

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がん微小環境に関する新たな発見~宿主由来細胞外マトリックスが腫瘍成長を促進する~

2017年12月22日

 岡山大学大学院保健学研究科の廣畑聡教授、大学院医歯薬学総合研究科大橋俊孝教授、浅野恵一大学院生らの国際共同研究グループは、がん微小環境において、がん細胞ではなく周囲の宿主由来の細胞がたんぱく質の一種、バーシカンを発現することで血管新生を促進し、がんの成長を促進していることを発見しました。
 今回の研究では、がん組織の中に周囲から自身の細胞が入り込んでバーシカンを分泌することに加えて、分解産物はその分布が変化(再配置)することが明らかとなりました。本研究成果は12月8日、英国の科学雑誌「Scientific Reports」の電子版に掲載されました。
 この研究成果は、がん細胞以外の細胞を含んだ『がん微小環境』の重要性を示しています。つまり、がん細胞のみならず宿主の細胞が腫瘍成長を促進する役割を担っていることを示しており、今後のがん治療に新たな課題を提示しているといえます。
 本研究成果は、これからのがん治療を考える上で、がん細胞自身に対する直接的な治療でなく免疫チェックポイント薬のような新たな治療戦略の開発が重要となってくることを示しています。
図1:腫瘍血管におけるバーシカンの分解産物の再配置(relocation:本文中より一部図を改変)
左では赤色と緑色はほとんど重なっていないが右では特に血管内腔で重なっている


<論文情報等>論文名:Stromal Versican Regulates Tumor Growth by Promoting Angiogenesis
「間質由来バーシカンは血管新生を促進することで腫瘍成長を制御する」
掲載誌:Scientific ReportsDOI:http://dx.doi.org/10.1038/s41598-017-17613-6著者: Keiichi Asano, Courtney M. Nelson, Sumeda Nandadasa, Noriko Aramaki-Hattori, Daniel J. Lindner, Tyler Alban, Junko Inagaki, Takashi Ohtsuki, Toshitaka Oohashi, Suneel S. Apte, Satoshi Hirohata*

<詳しい研究内容について>
がん微小環境に関する新たな発見~宿主由来細胞外マトリックスが腫瘍成長を促進する~


<お問い合わせ>
岡山大学大学院保健学研究科
教授 廣畑 聡
(電話番号)086-235-6897
(FAX番号)086-235-6897

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