国立大学法人 岡山大学

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酸化グラフェンの合成時間を5時間に半減

2013年01月22日

 本学異分野融合先端研究コアの仁科勇太助教の研究グループが、グラファイト(黒鉛)から酸化グラフェンを合成する工程の時間短縮化に成功しました。これまでは9時間以上かかっていましたが、5時間以内に完結できるようにしました。使用する薬品の量も半減するため、大幅なコストダウンが見込めます。
  酸化グラフェンは触媒、各種電池材料、大型ディスプレーなどへの応用が期待されており、今後大量生産技術の確立をめざします。
<業 績>
 グラフェンは炭素原子が蜂の巣状に平面に並んだシート状物質で、電気伝導度が高い、表面積が大きい、高い強度を有する、という特徴があります。グラフェンを大量に生産するための原料として酸化グラフェンが期待されていますが、酸化グラフェンの合成自体に時間と大量の薬品が必要でした。
本学の研究グループは、グラファイト(黒鉛)にマイクロ波を当てて構造をわずかに変化させることで、酸化されやすくなるようにしました。従来では、グラファイトに直接硫酸などの酸化剤を反応させていたため、酸化に時間がかかっていました。今回開発した技術により、これまで50%程度だった酸化グラフェンの収率が最大90%に向上できました。実験では10g以上のグラファイトを一度に酸化することに成功しています。12月末に詳細が特許公開されました。(登録番号:特許第5098064号)J-STORE

<見込まれる成果>
 酸化グラフェンは応用例が広いため、アメリカ、中国、韓国など海外を中心に研究が進められています。とくに、グラフェン材料を触媒担体として用いることで貴金属使用量の低減や、貴金属フリーの導電材料として利用することは、金属資源の乏しい我が国で強く望まれています。今回の技術により、酸化グラフェンの大量合成が可能になり、こうした用途への応用が一気に加速します。
酸化グラフェンは還元処理や他の元素や金属との複合化が容易であり、新しい炭素材料として日本発の技術を確立することにつながります。

<補 足>
  酸化グラフェンは水や有機溶媒に溶け、液体のように扱うことが可能です。他の物質と反応する部位が多いため、複合化により、触媒や電極にも利用することができます。

詳細は報道発表資料をご覧ください

<お問い合わせ>
 岡山大学異分野融合先端研究コア 助教(特任)
 仁科勇太
(電話番号)086-251-8718
(FAX番号)086-251-8718

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