国立大学法人 岡山大学

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従来の5倍 酸化グラフェンの大量合成に成功

2015年07月14日

 岡山大学異分野融合先端研究コアの仁科勇太准教授らの研究グループは、黒鉛から酸化グラフェンを世界最大のスケールと効率で合成する方法を開発。従来の5倍の500グラムスケールの酸化グラフェンを8時間で合成することに成功しました。
 本技術は、次世代材料であるナノカーボン類が抱えるコスト問題の解決につながり、実用化研究が加速すると期待されます。
<背景・業績>
 溶液中で合成できる酸化グラフェンは、既存の化学工場設備をそのまま利用することができるため、次世代材料であるナノカーボンが抱えるコスト問題の解決につながると期待されています。しかし、実際はプロセスが煩雑であり、通常は10グラム程度のスケールで合成されることがほとんどです。仁科准教授らは、特別電源所在県科学技術振興事業等の支援を受け、酸化グラフェンの実用化を視野にいれた大量合成法の開発を検討してきました。2013年には100グラムスケールでの合成を達成していましたが、プロセスの煩雑性や危険性の回避が克服できておらず、それ以上のスケールアップが困難となっていました。
 今回、仁科准教授らの研究グループは、必要最低限の酸化剤の利用、危険な中間体の生成の抑制、精製プロセスの最適化を実施。500グラムを超えるスケールでの合成に成功しました。

<見込まれる成果>
 酸化グラフェンは、電極、触媒、水浄化、放熱、樹脂補強材、潤滑剤などの用途が見込まれ、国内外で数多くの論文発表や特許取得がなされています。しかし、酸化グラフェンを安全かつ大量に製造する技術がなく、実用化のための企業レベルでの検討(通常、数キログラム以上が必要)が進んでいません。本技術により、キログラムスケールでのサンプル供給が実現すれば、酸化グラフェンの実用化が一気に加速すると期待されます。

<謝 辞>
 本研究は、平成26年度特別電源所在県科学技術振興事業(岡山県)等の助成を受け実施しました。


<お問い合わせ>
岡山大学異分野融合先端研究コア
准教授 仁科 勇太
(電話番号)086-251-8718
(FAX番号)086-251-8718
(URL) http://www.tt.vbl.okayama-u.ac.jp/

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