国立大学法人 岡山大学

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がんの浸潤・転移の抑制に成功 細胞内にある酵素MMP3タンパク質が鍵を握る!!

2018年05月31日

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の奥舎有加助教、江口傑徳助教らのグループは、動物実験でのがんの浸潤・転移の抑制に成功しました。
 細胞内にある酵素の一種であるMMP3タンパク質には、他のタンパク質を切断・分解するプロテアーゼ活性部位とプロテアーゼ活性を持たない部分(PEXドメイン)があり、これまでの報告において、プロテアーゼ活性部位の役割は判明していました。今回、奥舎助教らは、さまざまなアプローチを用いて、もう一方のPEXドメインが、がん浸潤・転移促進因子であることを突き止めました。また、マウス実験において、腫瘍から周囲へと広がるMMP3とそのPEXアイソフォーム(PEXドメインのみを持つMMP3タンパク質)を減らすことで、がんの浸潤・転移を著しく抑制することができました。本研究成果は5月15日、英国の細胞生化学専門誌「Journal of Cellular Biochemistry」のオンライン版に掲載されました。
◆発表のポイント
・細胞内にあるMMP3タンパク質の一部(PEXドメイン)が、がんの浸潤や転移を促進する因子であることを解明しました。
・マウスを使ってタンパク質の制御実験を行ったところ、がんの浸潤・転移を抑制することに成功しました。
・がんの浸潤・転移のメカニズムのさらなる解明が期待されます。

◆奥舎助教からのひとこと
多くの先生方のご協力を得て成し遂げた成果であり、私自身、大変思い入れがある研究となりました。

奥舎助教

◆江口助教からのひとこと
ここまでがんの転移を抑制できるとは驚きでした。さらなる発展が楽しみです。

江口助教



図: 癌におけるMMP3/PEXの役割。これまで、細胞外や細胞内で機能するMMP3が知られてきたが、今回、核内で機能するMMP3/PEXアイソフォームが癌細胞の遊走・浸潤・転移を促進することが明らになった。

■論文情報論 文 名:The intranuclear PEX domain of MMP involves proliferation, migration, and metastasis of aggressive adenocarcinoma cells掲 載 紙:Journal of Cellular Biochemistry著  者:Yuka Okusha, Takanori Eguchi, Chiharu Sogawa, Tatsuo Okui, Keisuke Nakano, Kuniaki Okamoto, and Ken-ichi Kozaki
D O I:10.1002/jcb.27040
U R L:The intranuclear PEX domain of MMP involves proliferation, migration, and metastasis of aggressive adenocarcinoma cells
2016年5月29日に逝去された小崎 健一 教授に深く哀悼の意を捧げます。

<詳しい研究内容について>
がんの浸潤・転移の抑制に成功 細胞内にある酵素MMP3タンパク質が鍵を握る!!

<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
助教 江口 傑徳
(電話番号)086-235-6662
(FAX)086-235-6664

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