国立大学法人 岡山大学

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歯工連携で歯科界の研究雑誌の最高峰で論文賞を受賞!乳歯や高齢者のむし歯予防と、しみる歯の対策に自然な色の歯の補強剤を開発!

2021年07月29日

◆発表のポイント

  • むし歯や知覚過敏症となる歯の象牙質をカバーする新しい複合体を開発しました。
  • 新開発の補強材は自然な歯の根の色を守ります。(これまでの補強材は「黒い色」でした)
  • 酸に耐えて歯の象牙質をカバーするほか、むし歯菌の増殖を抑制します。

 岡山大学学術研究院医歯薬学域(歯)の高柴正悟教授と同大異分野融合先端研究コアの仁科勇太研究教授は、歯学と工学の連携グループを作り、大学院生であったMohammed Zahedul Islam Nizami留学生とともに、むし歯や知覚過敏症となる歯の象牙質をカバーする新しい複合体を開発しました。これは、歯に付着する酸化グラフェンを銀イオンとフッ化カルシウムと結合させたもので、これまで保護剤では「真っ黒」になりましたが、歯の象牙質の色で留まります。
 この研究成果は、国際歯科研究学会(International Association for Dental Research:IADR)が運営する歯科界の最高峰の雑誌である「Journal of Dental Research」(JDR)に、2020年2月に掲載され、2021年7月21日(米国時間)に第99回IADR学術大会で2020年度のJDRの最高論文賞であるWilliam J. Gies Award(バイオマテリアル・バイオエンジニアリング研究)を受賞しました。
 本研究成果を上げたNizami留学生は、大学院医歯薬学総合研究科を3年半で早期修了し、1年間ほど仁科研究室でポストドクトラルフェローとして働き、この6月から香港大学にポストドクトラルフェローとしてのポストを得て、渡航しています。
 本研究成果は、小児から高齢者までのむし歯の予防と知覚過敏症の治療に応用されることが期待されます。今後は、動物実験で効果を確認した後に、人への応用が計画されています。

◆研究者からのひとこと

 牛の抜去歯を用いた研究でしたが、象牙質の表面にある「象牙細管」がしっかりと封鎖されて、さらにブラッシングによる機械的刺激や酸による象牙質の脱灰(人工的なむし歯)にも耐えうることが分かったときは、日本語と英語のチャンポンで喜びあいました。また、これを塗った後の歯の色が象牙質の色に近くて、これまでの「真っ黒い歯」ではなかったので、喜びが2倍以上でした。
 論文発表後は反響が少なかったのですが、IADRの事務所から本賞の知らせがあったときは、大喜びでした。見ている神もいました!

(左から)仁科研究教授,Nizami大学院生(当時),高柴教授

■論文情報
論 文 名: Functionalized Graphene Oxide Shields Tooth Dentin from Decalcification
(機能性酸化グラフェンは歯の象牙質を脱灰から保護する)

掲 載 紙: Journal of Dental Research
著 者: Nizami MZI, Nishina Y, Yamamoto T, Shinoda-Ito Y, Takashiba S.
D O I: https://doi.org/10.1177/0022034519894583
U R L: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31860805/


<詳しい研究内容について>
歯工連携で歯科界の研究雑誌の最高峰で論文賞を受賞!乳歯や高齢者のむし歯予防と、しみる歯の対策に自然な色の歯の補強剤を開発!

<お問い合わせ>
岡山大学 学術研究院医歯薬学域
教授 高柴 正悟
(電話番号) 086-235-6675
(FAX) 086−235−6679

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