国立大学法人 岡山大学

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「がん患者だって子どもを持ちたい」岡山県も支援のための助成事業を開始 助成内容も含めた,がん患者向けの妊孕性温存パンフレットが完成

2022年03月17日

◆発表のポイント

  • 岡山県では、2021年度より『岡山県小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業』を開始し、小児、思春期・若年成人(AYA世代)のがん患者に対し、妊孕性温存治療費用の一部を助成することになりました。
  • がんの化学療法や放射線療法により、将来、子どもを持つための能力(妊孕性)が低下してしまうことがあります。そのため、がん治療前に精子や卵子、卵巣などを凍結保存しておく「生殖機能温存・妊孕性温存」が行われています。
  • 妊孕性温存治療の可能性と限界、また、その費用の助成制度を知ってもらうため、がん治療を受ける患者さん向けのパンフレットが完成しました。

 近年、医学の進歩とともに、がんを克服し、その後に子どもを持つことを希望する方々が増えています。
 がんの治療である化学療法(抗がん剤治療)や放射線療法を行うと、卵巣や子宮、精巣など、妊娠に必要な臓器がダメージを受け、機能が低下してしまう場合がありますが、生殖医療技術の発達とともに、卵子・精子・胚(受精卵)の凍結保存や、卵巣自体の凍結保存により、生殖機能・妊孕性を温存することが可能になっています。
 種々の方法の中には高額な費用が必要なものもあり、中には実施を躊躇する例も見られます。このため、岡山県では2021年度より、『岡山県小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業』を開始し、将来子どもを産み育てることを望む小児や、AYA世代(思春期・若年成人)の患者様のうち、対象となる患者様に対して妊孕性温存治療に関わる費用の一部助成を始めました。しかし、まだ周知されていない現状があります。
 今回、岡山大学病院リプロダクションセンター、岡山大学大学院保健学研究科では、がんの治療に向かう患者とご家族のために、岡山県による各種の助成の内容も含めたパンフレット「将来、子どもを持つことについて知りたい方とその家族へ がん治療の前に知っておきたい生殖機能温存・妊孕性温存治療のこと」を完成しました。
 このパンフレットが、生殖機能温存・妊孕性温存について知るきっかけとなり、後悔することなく、がん治療に向かうこと、また、がん克服後に子どもを持つことにつながればと思います。

◆研究者からのひとこと

 岡山大学病院リプロダクションセンターでは、がん患者の妊孕性温存治療を行うとともに、この治療を広く知っていただくための活動をしています。
 この冊子は、岡山県妊孕性温存治療に関する研修事業と岡山大学SDGs(持続可能な開発目標)推進事業の助成により作成しました。

 「がんと生殖医療ネットワークOKAYAMA」代表
  岡山大学病院リプロダクションセンター センター長
  岡山県不妊専門相談センター センター長

中塚 幹也

<詳しい研究内容について>
「がん患者だって子どもを持ちたい」岡山県も支援のための助成事業を開始 助成内容も含めた,がん患者向けの妊孕性温存パンフレットが完成


<お問い合わせ>
岡山大学大学院保健学研究科 中塚研究室
岡山大学生殖補助医療技術教育研究(ART)センター
教授 中塚 幹也
(電話番号)086-235-6538(FAX兼)

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