岡山大学 農学部

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微生物化学

微生物化学(Microbiological Chemistry)

独立栄養細菌のエネルギー代謝の解明と環境バイオテクノロジー

教員

Takashi TAMURA教授 :田村 隆  Prof. Dr. TAMURA Takashi
E-mail:tktamura@ (@以下はokayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野: 応用生物化学
硫黄・セレンの生物化学,量子酵素化学
Tadayoshi KANAO教授 :金尾 忠芳  Prof. Dr. KANAO Tadayoshi
E-mail: tkanao@ (@以下はokayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野: 応用微生物学,生化学
化学合成独立栄養細菌のエネルギー代謝関連酵素の分子生物学および生化学的解析, 同細菌に由来する環境保全や物質生産に関わる有用酵素と遺伝子の探索

主な研究テーマ

 地球上には化学合成独立栄養細菌(鉄酸化細菌, 硫黄酸化細菌, 硝化細菌, 水素細菌, メタン生成細菌など)と呼ばれるユニークな機能を持った一群の細菌が生息しています。これら細菌は地球規模の無機化合物循環に関わっている重要かつ学問的に大変興味深い細菌です。現在, 強酸性, 高濃度の重金属が存在する特殊環境下で活発に増殖する鉄酸化細菌及び硫黄酸化細菌を中心にした化学合成独立栄養細菌のユニークな生理学的特性の開発(微生物機能の開発),環境適応機構の解析,有用物質生産並びに環境保全分野への利用をテーマに研究を行っています.

鉄及び硫黄酸化細菌のエネルギー生成機構の解明

 化学合成独立栄養細菌である鉄酸化細菌及び硫黄酸化細菌は,他の細菌には例を見ないユニークな酵素反応を用いてエネルギーを獲得しているので,鉄及び硫黄酸化酵素,硫黄還元酵素,ATPase などを精製し,これら細菌のエネルギー生成機構を分子生物学的に解明している。 鉄酸化細菌 Acidithiobacillus ferrooxidans の電子顕微鏡写真(右)

生成機構

鉄及び硫黄酸化細菌の利用に関する研究

 鉄及び硫黄を酸化して硫酸を生成する,硫黄を還元して硫化水素を生成する,2価水銀を金属水銀に還元するなど,鉄及び硫黄細菌が持つユニークな酵素反応を,鉱石からの有用金属の溶出,重金属イオンを含む排水の処理,水銀汚染土壌の修復,コンクリート腐食防止剤の開発などの分野へ利用することを試みている。微生物を用いたこの様な技術の開発は, 限りある資源の有効利用・省エネルギー・二酸化炭素の排出削減・環境保全などにおいて今後ますます重要になると考えられる。写真(右)は, 粗銅鉱石カルコパイライト(CuFeS2)の結晶。有用貴金属である銅を, 含有量が少ないこの様な鉱石から鉄酸化細菌を利用することで溶出・回収する技術を研究している。

酸化細菌

好酸性細菌の環境適応機構の解析

 細菌は, 環境変化に応答して, 物質の取り込みや排出を行う外膜タンパク質を変化させる。pH 2~3の酸性環境で生息している鉄酸化細菌や硫黄酸化細菌には, 鉄や硫黄を食べるための特殊なタンパク質が存在しているが, その機能はよくわかっていない。そこで, 外膜タンパク質の構造と機能を中性で生きている細菌のものと比較検討している。図(右)は鉄酸化細菌の鉄硫黄代謝経路の一部を模式化したもの。

環境適応機構

極限環境(特に酸性環境)下に生息する微生物のモニタリング

 環境中に生息する様々な微生物の内, 我々が培養できる微生物は1%にも満たないと言われている。つまり残り99%の微生物が分離できずに埋もれている。我々の研究室では, 強酸性環境下に生息する微生物群がどの様に構成されているのかRFLP法やDGGE法などの遺伝子解析手法を用いて明らかにしようと試みている。将来的には酸性環境のメタゲノム解析を進めることにより, 酸性環境微生物群集の解明と有用遺伝子の探索を行いたいと考えている。写真(右)は, 酸性鉱山排水中の微生物DNAをRFLP解析したもの。

RFLP解析

研究業績リスト

Okawa A, Handa H, Yasuda E, Murota M, Kudo D, Tamura T, Shiba T, Inagaki K., Characterization and application of l-methionine γ-lyase Q349S mutant enzyme with an enhanced activity toward l-homocysteine. J Biosci Bioeng 133, 213-221 (2022)
Ogawa S., Shimidzu H., Fukuda K., Tsunekawa N., Hirano T., Sato F., Yura K., Hasunuma T., Ochi K., Yamamoto M., Sakamoto W., Hashimoto K., Ogata H., Kanao T., Nemoto M., Inagaki K., Tamura T., Multiple mutations in RNA polymerase beta-subunit gene (rpoB) in Streptomyces incarnatus NRRL8089 enhance production of antiviral antibiotic sinefungin: modeling rif cluster region by density functional theory., Biosci. Biotechnol. Biochem., 85, 1275-1282 (2021)
・Kanao T., Hase N., Nakayama H., Yoshida K., Nishiura K., Kosaka M., Kamimura K., Hirano Y., Tamada T., Reaction mechanism of teterthionate hydrolysis based on the crystal structure of tetrathionate hydrolase from Acidithiobacillus ferrooxidans., Protein Sci., 30, 328-338 (2021)
・Nemoto M, Iwaki S, Moriya H, Monden Y, Tamura T, Inagaki K, Mayama S, Obuse K.
Correction to: Comparative Gene Analysis Focused on Silica Cell Wall Formation: Identification of Diatom-Specific SET Domain Protein Methyltransferases.Mar Biotechnol (NY). 23,157 (2021)
・Kanao T., Sharmin S., Tokuhisa M., Otsuki M., Kamimura K., Identification of a gene encoding a novel thisulfate:quinone oxidoreductase in marine Acidithiobacillus sp. strain SH., Res. Microbiol., 171, 281-286 (2020)

卒業生・修了生進路

・大学院進学(岡山大学, 京都大学, 九州大学など)
・公務員(岡山県農業試験場・岡山市・真庭市など)研究機関(科学技術振興機構など)
・民間企業(食品・醸造系:キリンビール, サントリー, 明治, 林原など,医療・製薬系:中外製薬など,化学・環境系その他:三浦工業, カネカ, 村田製作所など)

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