最近のGIS事情


 ここでは、個人レベルで使用することのできるGISソフトウェアの最近の情報についてふれておきたいと思います。個人レベルというと、どうしても英語版になります。日本語版があるものは、値段が高くなりますし、翻訳はいずれにしてもわかりにくいので、どうしても英語では困るというのでなければ、英語版をおすすめします。

 最も出費をおさえてハイレベルなGISを駆使したいという方には、PC-UNIXがおすすめです。LinuxなどのフリーのOSを導入し、GRASSなどのフリーのソフトを使えば、ソフト面での出費は、限りなくゼロに近づきます。しかし、UNIXに習熟しなければならないので、研究者やマニア向けです。岡山大学考古学研究室では、LinuxでGRASSの使用を試みています。なお、以前はArcInfoがデファクト・スタンダードだったのですが、最近の国際学会などで使用されているのは、GRASSや、次に紹介するIDRISIが多いようです。

 1993年から当研究室で使用しているのは、IDRISIです。はじめはDOS版でしたが、Windows版となり、現在はVersion3です。一方、IDRISIを開発したクラーク・ラボから、1998年になってベクター・ベースのCartaLynxがでました。クラーク・ラボは、ラスター・ベースのIDRISIとベクター・ベースのCartaLynxという両者を揃えたことになります。デジタイザからの入力は、CartaLynxを使います。

 一方で、GRASSの陣営からは、Windows版のBlackland GRASSが1998年夏にリリースされました。UNIXの本格的GISがWindows対応になり、ユーザ・インターフェースは良くなりました。2万円程度で入手できるという、価格面のメリットがあります。1か月限定の試用版をダウンロードできますが、慣れていないと、試用の段階でつまずいて、やる気をなくしてしまうのではないかという恐れがあります。

 というわけで、10万円以下のGISソフトとしては、大きく二つの選択肢ができてきました。IDRISIとCartaLynxで行くか、Blackland GRASSで始めて、慣れればUNIX版のGRASSに移行するか。しかし、いずれにしても、GISはお遊びのソフトではありません。使いこなすには、まわりに指導者がいて数カ月、そうでなければ、1、2年をかける覚悟が必要です。

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岡山大学考古学研究室
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000526 Written by Niiro