二万大塚古墳第1次発掘調査 概要報告
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  4 出土遺物


3. 須恵器

 現在確認できている器種は、甕、壺、杯、高杯、横瓶である。

甕あるいは壺の破片は、最も出土点数が多く、数個体を確認している。くびれ部西トレンチにおいて最も多く出土しているが、他のすべてのトレンチでもいくらか出土している。器壁の厚さは大部分が0.8〜0.9p程度であるが、一部の破片は0.5p程度と薄い。口縁端部の形状は、丸みを帯びるものと、角のついた断面三角形のものの2種類に大別できる。口頸部には、波状文を施し、沈線をめぐらせたものと、無文のものがある。体部外面には、格子タタキ目文が最も多く見られる。

杯身・杯蓋の破片は、くびれ部西トレンチにおいて出土しており、各数個体を確認している。杯蓋の口縁端部は、内傾し、稜をもつ。その形状は、大半のものが丸みを帯びるが、1点のみ面をもつものがある。また、口縁に刻み目をもつものがある。天井部と口縁部の境は、大部分は不明瞭な凹線であるが、他に沈線が施されたものや、境のはっきりしないものもある。杯身の立ち上がりは、長さ0.8〜1.6pで内傾し、端部はすべて丸くおさめている。受部は外上方にのびる。これらの杯は、陶邑編年のTK10に相当する。

 造り出しでは、脚付き壺の脚部が出土した(左写真)。現存高12.2p、脚底径15.4pである。内外面とも横ナデで調整されており、2条の沈線によって、2段に区切られる。透しは方形で2段4方向に施され、その間には波状文を飾る。また、装飾須恵器の装飾部位と考えられる破片は、棒状のもので片面が扁平である(須恵器実測図中図5)。高さ5.9p、横幅3.4pを測り、人を模したものであると思われる。

 後円部石室内で出土した横瓶は、口縁部の一部が破損しているのみで、ほぼ完形である(右写真)。形態は俵形で、器高21.8p、口径8.8p、幅21.5pを測る。胴部には、ナデの調整が施されおり、一部にカキ目が見られる。また、中央にはヘラ記号がある。凸面部では、ヘラ削りが全面にみられる。

 


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