3月14日までの埋葬施設に関する調査成果を記者発表し、報道関係各社によって報道されました。 調査団としての公式見解を中間報告として掲載します。
勝負砂古墳の中心埋葬施設は現地表下約3.5mのところに存在する竪穴式石室です。 長軸:おおよそ東西方向 規模:長さ約3.5m 幅1.1m前後 深さ0.7m前後 壁体の構造:角礫積み 石と石の間に粘土をかませて積む 室内は天井石内面をのぞき、顔料で赤彩 天井石:8枚 天井石上面・石室側面を粘土で被覆しています。
8枚の天井石のうち東から2枚目が土圧等の原因により崩落しています。この崩落により土砂が流れ込み石室内床面の半分を覆っています。この天井石の崩落による陥没は、石室の天井石の上の約2mのところまで土層断面により確認されています。 石室内はこの天井石の崩落による土砂の流入等をのぞいておおよそ埋葬当時の状況を保っておりまして、副葬品の状況等からも攪乱はされていないものと思われます。
3月14日までの段階で確認している副葬品は以下の通りです。
鏡(鏡式不明)1面 鉄製甲(横矧板鋲留短甲とみられる)1領および付属具 馬具(青銅製および鉄製)1式? 鉄鏃束 1括(ただし、これまで確認できているのは矢柄の束のみ) ヤリまたは矛(黒漆塗りの柄、および石突を確認) 1本 土器 2点 その他 有機質遺物多数
現在までに確認できる副葬品のうち、短甲が横矧板鋲留短甲の可能性があること、天狗山古墳の石室との類似などから、5世紀後半に築かれたものと考えられます。
鏡(鏡式不明) |
鉄製甲および付属具
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馬具 |
鉄鏃束
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ヤリまたは矛 |
土器
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