結節性硬化症とは?

結節性硬化症は、身体のいろいろな臓器に過誤組織(良性腫瘍になる場合は過誤腫)という先天性病変ができる疾患です。中枢神経系と皮膚の病変が前面に出る患者さんが多いため神経皮膚症候群に分類されますが、病変は神経や皮膚だけではなくさまざまな臓器に及びます。そのため結節性硬化症の診療では多数科やスタッフの間の連携が必要です。

結節性硬化症で認めるのは、顔の一見ニキビ様のぶつぶつの良性腫瘍 (顔面血管線維腫)、皮膚の白い葉っぱのような形のあざ (白斑)、腎臓の良性腫瘍 (血管筋脂肪腫)、脳内の良性腫瘍や結節 (上衣下結節・巨細胞性星細胞腫)、てんかん、知的障害・自閉症、心臓の良性腫瘍 (心横紋筋腫)、目の良性腫瘍 (網膜過誤腫)そして肺の病変(リンパ脈管平滑筋腫症、LAM)など多彩です。その中のいくつかを、それぞれの患者さんでは認めることが多いのですが、年齢により現れる病変は違います。

例えば心横紋筋腫は新生児期から認められ年齢と共に自然に小さくなります。てんかんは特に乳児期に、点頭てんかんというピクッとお辞儀を繰り返すような発作を示すタイプになり易いのですが、他のタイプになることもしばしばあります。一方で腎血管筋脂肪腫は思春期以降に、肺のLAMは20歳以降の女性に認め易いという特徴があります。このため受診が必要な診療科は年齢により変わります 。

臨床症状の年齢的推移(Curatolo et al. Lancet 2008より改編)
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結節性硬化症を診る診療科

それぞれの診療科には専門とする臓器がありますが、一人の患者さんを診るのに科の間の連携がなければ、検査が抜けたり重複するかもしれませんし、治療薬に相互作用がある可能性もあります。岡山大学病院では診療科の間の連携を計り、結節性硬化症の患者さんが必要とする医療を漏れなく提供するためにチーム「結節性硬化症ボード」を作りました。

臨床症状の年齢的発現と対応診療科

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岡山大学病院結節性硬化症ボード


ボード(診療チーム)のメンバー

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泌尿器科 片山 聡
脳神経外科 教授 伊達 勲*、佐々木 達也*
神経内科 武本 麻美
精神科神経科 松本 洋輔*
小児神経科 教授 小林 勝弘*、土屋 弘樹
小児科 教授 塚原 宏一、吉本 順子、宮原 宏幸
小児循環器科 馬場 健児
皮膚科 平井 陽至
呼吸器・アレルギー内科 谷口 暁彦
腎臓・糖尿病・内分泌内科 木野村 賢
総合内科 花山 宜久
小児歯科 教授 仲野 道代
スペシャルニーズ歯科センター 村田 尚道

*てんかんセンターにも所属

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