第11回生殖生命科学セミナー
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演題: Phytoestrogens influence the female reproductive tract: are they real risk factors?  
植物性エストロジェンの雌生殖器官への影響: それは本当に危険因子なのか?

演者: Dr. Dariusz J SKARZYNSKI
    (ポーランド科学アカデミー)

日時:2006年7月24日(月)16:30-17:30
場所:農学部1号館 第4講義室
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 BSEが確認されて以降、乳牛へ濃厚飼料として動物性飼料を給餌することが禁止されており、大豆かすが以前よりも多く給餌されています。反芻動物が大量のマメ科飼料を摂食することによって乳腺の異常な発達や不妊になることが古くから知られています。その原因としてマメ科植物に含まれるイソフラボノイドをはじめとする植物性エストロジェンが作用することが挙げられていますが、過去の報告では動物が偶発的にマメ科植物を大量に摂食した際の影響を想定しており、飼料として継続的に与えられる少量の植物性エストロジェンが生殖機能に与える影響は良く知られていません。
 多くの哺乳動物において、子宮由来のプロスタグランディン (PG) F2? が黄体退行を誘発する物質である一方で、PGE2 は胚の着床および成長に深く関与することが知られています。最近、Dr.Skarzynskiのグループは、イソフラボノイドがウシ子宮内膜細胞のPG合成に及ぼす影響を多角的に解析し、BSE問題発症以降におけるウシ不妊の原因として(継続的に給餌される)イソフラボノイドが関係している可能性について多くの論文を発表し、注目を集めています。本講演では、植物性エストロジェンが反芻家畜の繁殖効率および雌生殖器官の局所調節機構へ及ぼす影響について最近の研究成果をもとに解説していただきます。

世話人:奥田 潔 
連絡先:251-8333
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