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長谷川ゼミFAQ
2006.6.15.開設
卒論研究の取り組み方について教えてください。
まずはテーマ選びです。
何でも指示されたとおりにしますから、テーマを与えてくれませんか。
こちらでも述べましたように、当ゼミでは、テーマは御自分で主体的・能動的に選んでいただくことを原則としています。
どうやったら、見つけられますか?
私は毎朝、Web日記を書いておりますが、ネタ不足で悩むということはまずありませんね。散歩をしていても、会議の最中でも、あるいはテレビや新聞を通して、いろんなネタが見つかるはずです。見つからない方は、まずご自身の関心空間を広げ、それについてのブログでも始められたらよろしいかと思います。
そうはおっしゃっても、卒論テーマに選べる話題というのは限られてくるのではないでしょうか。例えば、テロ事件や詐欺事件について卒論で研究するわけにはいきません。
そりゃそうですね。でも、テロ事件や詐欺事件だって、そういう報道を視聴者がどう受け止めるかということだったらテーマになりますよ。心理学は行動現象を研究対象としています。人間が存在し、行動している限りにおいては、テーマは無限にあります。
いろいろなことに興味はあるのですが、絞りきれません。
卒論は、研究期間も予算も限られていますから、大きく構えても前に進めません。研究対象について、適当な切り口を見つけて、そこからできる限りの情報を引き出すという内容でよろしいと思います。
「情報を引き出す」というのはどういうことですか。
いくつかのタイプがあります。
- ある行動現象について、その原因を探り、何らかの予測を可能にすること。
- ある行動現象について、その原因を探り、それを増やしたり減らしたりする方法を見つけること。
- ある複雑な行動現象を分類整理し、簡潔に伝えやすくすること。
- 当たり前と思われている説について、その反例となる現象を見つけ、新たな説を提示すること。
他にもいろいろあります。
でもそんな大規模な取り組みはできません。
ですから、何でもかんでも扱うのではなく、その一部について、先行研究や関連研究を充分に調べた上で、ほんのちょっと、オリジナルな視点を入れて取り組むようにしてください。
量的研究と質的研究があると聞きましたが。
二者択一で捉えないほうがいいとは思いますが、一口で言えば、何かの物差しがあって、増えたか減ったかが測定できるならば量的研究です。それができないならば質的研究。但し、質的研究というのは、単に「質的なデータを扱う研究」という定義で片付けられるものではありません。詳しくは、こちらのリストにある、いくつかの拙著をご覧ください。
量的研究のコツを教えてください。
卒論ではそんなに大規模な研究はできません。
(1)2つの比較軸を立てて相関を見る
もしくは
(2)1つの観測値の変化を見る
という形に設計すれば研究は楽です。
(2)の変化は
・実験的操作による変化
もしくは
・何かのイベント(事件、関与)の前後での変化
という2つがあり、前者は単一事例の実験研究、後者は観察研究ということになります。
留意点としては?
何かの物差しを使って測るわけですが、その物差しが本当に妥当なものであるのか、常に疑ってみる必要がありますね。また、個々の対象や実験者の操作は独立的とは限りません。相互の連関、依存、文脈、状況などに気を配る必要があります。
質的研究のコツと留意点は?
言葉で聴き取る場合には、それが言語行動なんだということを忘れてはいけません。言語行動とは、ある言語共同体の中で相互に強化され維持されていくオペラント行動です。「語る」ということは強化や弱化の対象となる行動だということです。
質的なデータはともすれば、記述の羅列に終わってしまいます。分量は多いが、あれもある、これもあると言っているだけで、焦点が定まらない研究に終わらないように注意してください。けっきょく、何かの特徴を抽出するとか、今までとは異なるカテゴリーを見つけるといった、何かの発見が無ければ、すぐれた研究とは言えないでしょう。
研究の手法はどうやって学べるのですか。
こちらでも申し上げましたように、現在は旧カリキュラムから新カリキュラムへの移行期のため、一部、旧カリキュラムの学生にも配慮した内容になっています。2007年度以降は、長谷川が2年次生後期対象に心理学研究法の講義を開く予定です。また、心理統計学は、別の担当教員により、「心理学演習」として、2年次後期と3年次前期に基礎と応用が開講される予定です。さらに、2年次後期と3年次前期の行動科学実験・調査演習で、具体的なテーマについての調査や実験の基礎実習が行われます。これらを受講していただければ、卒論の手法で迷うことはないでしょう。
移行期にあたる現3年次生(2006年度)はどうすればいいのですか。
講義や演習の名称は一部異なりますが、基本的に同じ内容を保証しています。心理学研究法については2年次後期の行動科学実験・調査演習の中で扱いましたね。心理統計学の基礎と応用の授業もちゃんと受けられます。現3年次生に限って異なるのは、心理学演習の中味が統計ではなく、講読や、従来の心理学演習の中味を含んでいることです。現2年次生以降では、講読の時間数が減ることになります。いっぽう、心理学の講義は、長谷川が開講する心理学研究法についての講義以外は、それぞれの担当教員の専門領域に関わる講義だけになります(心理統計学の講義は無くなります)。