岡山大学医学部・歯学部附属病院

眼科

○斜視の新しい治療法-アジャスタブル斜視手術
 斜視の手術は整容とともに,立体視をはじめとする両眼でものを1つに見る機能(両眼視)の獲得を目指して行われます。具体的には,ずれた視線の角度に合わせて,経験的に得られた「術量-手術効果関係」に基に,外眼筋付着部を数mm移動させることによって行います。しかし,「術量-手術効果関係」には個人差がみられ,また疾患によっては予想外の矯正効果を示す場合も少なくありません。このため,手術の成功率は必ずしも高くありませんでした。
 アジャスタブル斜視手術では,手術の後で,矯正効果を確かめながら外眼筋を強膜に固定する糸の結び目をわずかに移動させることで,視線のずれの微調整します。米国ジョンズホプキンス病院眼科の統計では,1回の手術あたりの成功率が,70?80%(在来法)から90%(アジャスタブル法)まで改善したと報告されています。
 平成13年から岡山大学眼科では,主に成人斜視を対象としてアジャスタブル斜視手術を採用し,より確実な斜視矯正を目指しています。「斜視は治らないから」とか「長年,斜視には慣れてるから」とあきらめないで,「斜視専門クリニック(新患は火曜,木曜日の11:00までに受診いただければ幸いです)」まで,ご相談下さい。

○累進屈折力眼鏡による近視進行予防トライアル
 近視の有病率は,小学生で25%,中学生で50%,高校生で60%といわれ,我国は世界で最も近視人口が多い国の一つです。近視の予防法については古くからさまざまな方法が考案されていますが,EBMの評価に耐えうる予防法となると,ほとんど見あたらないのが現状です。近年では,エキシマレーザーによる屈折矯正角膜手術が実用化されつつありますが,治療対象は成人に限られ,また長期的な予後は判明していません。したがって,特に小児期においては,安全かつ確実な新しい近視予防法の発見が期待されています。
 近年の哺乳類を対象とした近視化実験から,低調節にともなう近見時の網膜像のボケが眼軸長の伸展を加速させることが報告され,学童期の近視進行の原因のひとつと考えられています。岡山大学眼科では,累進屈折力眼鏡(小児用に設計された遠近両用眼鏡)の作用により,こうした近見時の網膜像のボケを取り除くことで,近視進行を食い止めることができるかどうか明らかにするため,国内初の無作為化臨床比較試験を実施しています。現在,小学生ボランティア95名について経過観察中(平成15年5月,募集終了)で,最終報告は3年後の予定です。