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臨床

耳介の異常

西洋では宗教的観点から耳介の変形を(特に立っていて尖っているものを)“デビルイアー”として忌み嫌う傾向があります。 日本においてはよほどの変形でないかぎりあまり気にしないようですし、マスクや眼鏡がかけられないなどの支障がない限り病院にかからないようです。 次に日常の形成外科診療において比較的診察することの多い耳介変形について述べます。

①埋没耳

耳の付け根が一部側頭部に埋まり込んでおり、指で引っ張ると容易に引き出すことができますが、 指を話すとすぐに元通りに埋まり込んでしまう変形です。耳の軟骨と付着している筋肉の異常ですが、生後1才未満(特に3ヶ月未満)の乳児であれば、 簡単な装具(シリコンチューブとゼムクリップで作成した矯正具)を数週間装着するだけで、多くの場合治療できます。 ただし1才を過ぎますと耳の軟骨が少し固くなるため、装具による治療が難しくなり、手術による治療となります。

②副耳

耳の前や下に付いている余分な小さな耳状の突起物のことです。時に首に付いていることもあり“頸耳”と呼ばれます。 機能的には何ら問題はありません。以前は助産婦さんがよく絹糸でくくっていましたが、副耳の下に軟骨がある場合には多くの場合、 突起が残ってしまいます。小学校高学年以上で本人が気にするようであれば、局所麻酔下に軟骨を含め切除することをお勧めします。

③絞扼耳

別名“折れ耳”で、次に述べる④小耳症のごく軽症のものと考えられます。 名の通り、耳の中ほどで前方に折れ込んだ耳の形をしています。治療法は変形している軟骨を取り出して、ひっくり返して元に戻す方法と、 耳の後面から軟骨を出してメスで軟骨に切れ目を入れて、ナイロン糸で縫い寄せて耳を起こす方法があります。

④小耳症

耳のほとんどが残っているが左右で比較すると、小さく少し前かがみになっているもの(前述の③絞扼耳)、 耳の軟骨部分のほぼ半分と耳たぶのみあるもの(耳甲介型)、耳たぶのみのもの(耳垂型)など症状に差があります。 また重症になるに従って外耳道欠損を合併するため、聴力障害が認められます。一般的な治療法は肋軟骨(胸の軟骨)を採取して、 よい方の耳に似せた軟骨フレームを作成し、耳のあるべき皮膚の下に移植します。 約半年待って埋め込んだフレームを起こし皮膚の足らずに皮膚を植える方法が多く用いられています。 シリコンでできたフレームを用いる方法もありますが、外傷に弱くシリコンフレームが露出してしまい、摘出することがあります。

手術時期としては採取する肋軟骨の関係から胸囲60センチ以上が望ましく、平均すると10才以上となります。

⑤耳瘻孔

耳介そのものの変形では無いのですが、日頃診察することが多いので挙げておきます。 生まれつき耳の前方や耳の付け根に袋があって、悪臭を伴う分泌物を認め、時に炎症を起こし赤く腫れて、膿が出ることもあります。 頻回に炎症を繰り返すようであれば、袋ごと摘出する手術を行います。

これらの変形以外にも、貝殻耳、立ち耳、スタール耳、サチロス耳などの種々の変形に名前が付いています。 これらの変形全てに手術の必要性があるわけではなく、まずは機能的に問題があるか、またなによりも患者さま本人がそれを気にして 日常生活に支障を生じているかが、手術を行うかどうか決定する一番の要因だと考えます。

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