救急集中治療部(救急ICU・HCU)とは

高次治療部(High Care Unit)として2003年発足し,以降,“HCU”と院内では呼ばれています。一般にHCUとは,重症疾患患者さんが集中治療室(ICU)での治療に一定の目処がつき,一般病棟へ帰棟できるようになるまでの間を治療するための部門と理解されています。しかし,当HCUは主に救急車により搬送された救急科の救命救急治療を必要とする患者さんや,各診療科の院内や院外からの重症救急,急変患者さんの集約的治療を行う,院内では最も重症度・緊急度の高い病棟になっています。救急集中治療部は15床の病棟を擁し,このうち,厚生労働省により集中治療病床(ICU)として認定された病床を8床有しており,“HCU”を正式に救急集中治療部(救急ICU・HCU)と呼称することになりました。
このように,救急集中治療部は,救急搬送された重症患者さんが収容される救命救急病棟として機能するほか,病院内で病状が急変した患者さんや人工呼吸器離脱困難患者さん,重症呼吸・循環不全疾患で一時的人工心肺管理が必要な患者さんなどの治療を行うための場としての集中治療室的機能を兼務しています。
運営体制
24時間常に救急科専門医を含めた専従医が常駐し,救急集中治療部の全体の管理・運営は救急科長が担当しています。
救急科の患者さんが7割を占め,これは救急科が主科となって治療に当たっています。また,元々当院各診療科で治療中であった傷病の急変・悪化に伴う継続的集中治療の場合は,基本的に各診療科が主科として治療に当たり,救急科はそのサポートに当たります。
しかし,そのようなケースでもきわめて重症である場合や高度に専門的な救命救急医療を継続して行う必要のある場合は臨機応変に主科に協力して,救急科が主導的に治療に当たります。これは,救急科の患者さんにおいても同様で,重症熱傷は皮膚科又は形成外科,脳疾患は神経内科や脳神経外科,多発外傷・多臓器障害などは関連各診療科による協力の下に治療が行われ,さらに,理学療法士,臨床工学技士,管理栄養士などの協力の下に高度で緻密な救命治療がされています。
さらに,時として救急・災害現場などへ医師が出向かなければならない場合は,救急集中治療病棟常駐の救急医がヘリコプターなどで現場に出向きます。

医療設備・看護力
病室,病床
ICUベッド8床を含めた9床はオープンフロアで,医療者の目の届くところにあります。また,他の6床は個室で,このうちの4床は室内の気圧を切り替えられる病室となっており,感染症患者さんに対応が可能です。他に,主に熱傷患者さん用の浴槽を備えた処置室が1室あります。
モニター・検査機器
各ベッドごとの生体監視モニターでは血圧や心電図,動脈血酸素飽和度,呼気炭酸ガスモニター,体温などの連続モニターの他,BISや脳波など意識レベルなどもモニターできます。また,ベッドサイドの測定機器としては,血液ガス分析器,循環動態測定装置,超音波診断装置,間接熱量計,凝固線溶系測定機器,細菌標本染色器などがあります。
治療機器
最新鋭の高性能人工呼吸器,高頻度喚起装置(HFV),非浸襲型陽圧換気装置(NPPV),胸郭陰圧人工呼吸器,膜型人工肺(人工心肺装置)を擁し,人口呼吸管理においては日本で最も高度で決めの細かな治療が行われています。また,持続濾過透析装置,血漿交換装置を始めとした各種緊急医療装置を有しており,これらに習熟した救急専従医が常駐して診療に当たるとともに,臨床工学技士が機器のメンテナンス,治療補助を行っています。
症例カンファレンスおよび治療内容
教育機関病院としての役割を果たすため,毎朝夕の症例カンファレンス,学生・研修医へ向けての実にレクチャーや指導を積極的に行っています。
病棟での治療に関しては,上述した各装置を用いての緊急・集中全身管理を常に行っているほか,局所的な小手術は救急集中治療室内でも行えるよう,各種手術機器も常備し,必要時には施術しています。
また,広域災害ネットワーク(光回線),岡山市消防本部との直通回線,中毒診療や熱傷診療に関わる各種データベースへの接続も常時可能な体制をとっています。
看護力
看護力としては,24時間集中治療が行える看護体制を整え,行き届いた患者さんへの対応を目標としています。栄養状態や心機能・呼吸機能・腎機能・肝機能などを含めて患者さんを総合的に再評価し,その結果に基づき,回復軌道に乗せる具体的な方策を一つずつ詳細に検討しながら,それを実行していきます。その結果として,転院や普通病棟への転棟あるいは退院を実現することを最大の目標としています。
