はじめに

私たち小児頭蓋顔面形成センターは,頭蓋,顔面などになんらかの変形(左右が不対称であったり,ゆがみがあったり,また絶壁頭,小頭,大頭などの変形や,明らかに正常と異なる顔貌などを含みます。)があるお子さんたちに対して,その機能や外観をできるかぎり満足いくものにするという目的で設立されました。
これらの頭蓋顔面疾患は,頭蓋や顔面などの骨や皮膚・脂肪・筋肉などの組織に変形をともない,生まれながらに発症していることが多い病気です。乳幼児期から頭部や顔面に変形が生じ,なかには頭蓋内圧の亢進など生命に関わる状況や,脳の発達障害,呼吸,栄養障害,視力障害,聴力障害などを起こす場合もあり,早期の手術が必要になることもある病気です。また,この疾患は成長とともに変化し,変形が次第に悪化したり,成長期になってから食べることや話すことなどの機能に悪い影響が現れたりすることがあります。そのため,必要に応じて適切な時期に治療がなされることが大切です。この頭蓋顔面疾患は,非常にバリエーションにとんだ症状,顔貌を呈する病気で,現在さまざまな病名がつけられております(以下の‘対象となる疾患’をご覧ください。)。
当院での治療の特色
頭蓋顔面疾患は比較的まれな病気であり,脳や顔面を含めたいろいろな診療科の関与が必要となる疾患です。しかも,非常に特殊性の強い疾患であるためその診療には高度な専門性が要求されます。さらに個々の診療科のみでなく,専門性の高い多くの診療科によるチームとしての対応が必要になってきます。このような状況の中で,これらの疾患を扱う病院は全国でも非常に限られています。当院では高度先進医療の実践経験から,本疾患に対する総合的なチーム医療の基礎が確立しており,患者の皆さまの病状に応じての高度な医療の提供が可能となっています。
チーム医療としての頭蓋顔面形成センター外来

前述の総合チーム医療とは,本院では脳神経外科,形成外科,矯正歯科が中心となり,口腔外科,小児神経科,小児科,小児歯科,産婦人科,眼科,耳鼻科,などの多くの科の関与はもとより,それぞれの科における頭蓋顔面疾患のスペシャリストが診療に当たることで,出生前診断,出生後から幼少時期,青年期にいたるまでの全人的医療を目的とした総合的な医療を目指すものです。この理念のもと,我々,岡山大学病院では以下のそれぞれの科が現在まで培ってきた頭蓋顔面疾患に対する診療技術を有効に活用し,患者の皆さまにご利用いただけるよう小児頭蓋顔面形成センターを設立いたしました。このセンターの外来は脳神経外科外来に設置されており,専従の医師,看護師による相談や診療を受けることができ,脳神経外科,形成外科,矯正歯科を中心に関連診療科を効率的に受診できるシステムになっています。(問い合わせ:下記連絡先へ)
対象となる疾患
症候性頭蓋顔面疾患:特徴的な容貌,四肢の異常を伴う。
- アペール(Apert)症候群・尖頭合指症
- クルーゾン(Crouzon)病
- ファイファー(Pfeiffer)症候群
- Saethre-Chozen症候群など
頭蓋縫合早期癒合症(狭頭症)
- 単縫合早期癒合症
- 矢状縫合早期癒合症:頭が前後方向に長くなる舟状頭蓋を呈する
- 冠状縫合早期癒合症:頭が左右方向に長くなる短頭蓋を呈する
- 前頭縫合早期癒合症:前頭部が出っ張る三角頭蓋を呈する
- その他の縫合早期癒合:斜頭蓋,クローバー頭蓋など
- 多縫合早期癒合(非症候性:上記の症候群以外のもの)
頭部顔面の組織疾患


船状頭蓋(生まれつき縦に長い頭で矢状縫合が早期に癒合して(閉じて)いる。)
- 鎖骨頭蓋異形成症
- 顔面半側萎縮症・ロンベルグ症候群
- 第1・2鰓弓症候群・ゴールデンハー(Goldenhar)症候群
- トリチャーコリンズ(Treacher-Collins)症候群
- ピエールロバン(Pierre Robin)症候群
- ラッセルシルバー(Russell-Silver)症候群
- ターナー(Turner)症候群
- ベックウィズ・ヴィードマン(Beckwith-Wiedemann)症候群
- 顔面半側肥大症 ・エリス・ヴァン・クレベルド症候群
- 軟骨形成不全症
- ヌーナン症候群
- マルファン症候群
- プラダーウィリー症候群
- スタージ・ウェーバー(Sturge-Weber)症候群
- マキューン・オルブライト(McCune-Albright)症候群
- メビウス(Mebius)症候群
- 神経線維腫
- 顔面裂
- 口唇・口蓋裂
手術症例
2009年2月から2010年1月まで7症例の手術:クルーゾン病,舟状頭蓋,斜頭蓋,神経繊維腫症1型など
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遺伝カウンセリング
公的補助,医療費について
お子さんが治療を受ける疾患の中には,医療費の公費負担制度・補助制度(養育医療給付制度・自立支援医療・小児慢性特定疾患治療研究事業)を使える場合があります。当院の相談窓口にてお気軽にご相談ください。ただし,内容は,居住地区,法律,条例などで変わることがございますので,詳細につきましては,各福祉事務所等にお問い合わせいただくことをお勧めいたします。
研究活動
- 頭蓋顔面症候群と遺伝子異常の研究
- 頭蓋内圧と頭蓋顔面疾患との関係の研究
- 新しい頭蓋顔面疾患に対する手術法の研究 など
外来のご案内,診察医,連絡先
- 担当医師:
- 脳神経外科:伊達 勲(センター長),小野成紀
- 形成外科:木股敬裕(副センター長),徳山英二郎
- 矯正歯科:山城 隆(副センター長),本城 正
問い合わせ先:脳神経外科外来 外来医長 小野成紀又は,脳神経外科外来:担当看護師
086-235-7932