われわれは主としてショウジョウバエを用い、突然変異の誘発機構を修復欠損株の変異率の変化を指標に調べている。ショウジョウバエの細胞の中で細胞分裂を行っているのは卵期と幼虫の体内にある成虫原基(将来翅、脚、眼、触覚などになる器官)細胞のみである。従って突然変異を検出するためには、幼虫を処理する必要がある。テスト系には突然変異検出のための指標として翅毛の形態変化を用いる翅毛スポットテストと、DNA傷害を検出するin vivo DNA 修復テストがある。

ショウジョウバエは卵から成虫まで10-12日を要する完全変態の昆虫である。そのうち幼虫の時期は産卵後1日目の1齢幼虫、2日目の2齢幼虫、3、4日目の3齢幼虫の4日間である。最も標的細胞が多くなる3齢幼虫を用い、種々の処理を行った後、成虫における変異誘導率や生存率、あるいはDNA傷害率を検出する。一方で、処理後の幼虫の細胞抽出液における成分変化やDNAの修飾塩基の検出を行い、変異の要因を探っている。

 

環境紫外線による生物影響に関する研究会 2007.10.11 - 2007.10.12

2009年5月学部公開 「ショウジョウバエで環境を科学する」

第23回日本レーザー治療学会 2010.6.26 「近紫外光の生物影響」

平成26年度日本環境変異原学会学会賞 2014.12.4
「ショウジョウバエを用いた、紫外線およびアルキル化剤により誘発される突然変異の要因となるDNA傷害とその修復に関する研究」

実験室の風景