ご挨拶

 6月より合地明前会長の後を受けて岡山大学医師会長に就任いたしました。岡山大学医師会は、平成22年に岡山県医師会、岡山市医師会、全国大学医師会連絡協議会などからの設立要請に応え設立された若い医師会です。現在関係諸団体と連携を取りながら、徐々に活動を本格化させているところです。
 大学医師会は形式的には、岡山市医師会と同格の郡市医師会の一種ですが、それらとは相当異なった性格を持った医師会です。例えば、郡市医師会は開業医と勤務医から構成されていますが、大学医師会の場合は当たり前のことですが全員が勤務医です。また、若い年齢層の医師が多く、他の地域への異動も頻繁です。さらに、大学勤務医の多くは経済的待遇へ恵まれているとは言えず、そうした中で臨床医としての業務に加えて、学生や研修医に対する教育、先進的医療の開発に向けた基礎的・臨床的医学研究に従事している実態があります。
 従来、大学に所属する医師達は、学会等を通じて医療行政とパイプを持っていたものの、医師としてまとまって自分たちの意見を社会や国民に向けて発信する手段に乏しいものがありました。しかし医療を取り巻く環境は急速に変化しており、大学に勤務する医師もいつまでもその部外者でいられなくなっています。とりわけ、卒後臨床研修制度、新専門医制度、医療事故調査制度、地域医療構想等、従来の診療科や医局個別では解決困難な問題が続出しています。そうした中で大学医師会という組織は、岡山大学と医療行政をつなぐ有効なチャンネルの一つになると思われます。
一方で大学という組織と医師会という仕組みはそれほど相性が良くないことも事実です。自らを省みましても、若手医師の頃は、恥ずかしながら医師会にそれほど良いイメージは抱いていませんでした。しかし、年齢と経験を重ねるにつれ、公認された唯一無二の医師の職能団体である医師会の重要性に気づいたというのが正直なところです。
中世以来のプロフェッショナルとは、医師、法律家、(キリスト教の)僧侶のみですが、現在でも、弁護士会への入会をもって弁護士としての活動を許される法律家に比べて、厚生労働大臣から免許を与えられる形の医師は、プロフェッショナルとしての自律性を失っているという見方も出来ます。しかし一方で医師免許停止や取り消しについて審議する医道審議会のメンバーには日本医師会長が必ず入るように法律で定められています。このことからも分かるように、医師団体としての医師会の位置づけは弁護士会のそれに近いものがあり、その自律 (オートノミー)維持に一定の役割を果たしてます。
 さて、私の任期中には、まず、この医育機関におかれた医師会という特性を生かして、医師の継続教育に貢献してゆきたいと考えております。これまでも岡山大学医学部は、医師会という枠組みにとらわれずそうした機能を果たして参りましたが、今後、医師会員の生涯教育のみならず、専門医教育等において、大学「医師会」として他の医師会員に役立つ活動をすることで地域の連携を図ってゆきたいと思います。また、日本医師会の臨床研修医会費無料化事業も始まったことから、岡山大学病院で、医師としてのスタートを切る多くの研修医に医師会活動について理解してもらうことにも力をいれて行きます。また、会員医師の研究発表等の支援も微力ながら行っていく予定です。
最後になりましたが、岡山大学医師会員の皆様には大学医師会の運営について、是非積極的なご意見をお寄せいただきたく存じます。また、このページを訪れて下さった未加入の医師の皆さまには、医師会活動に関する疑問等をお寄せいただければ幸いです。大学医師会の設立趣旨、活動内容について理解、納得の上、会員に加わっていただければ大変うれしく思います。

 

平成28年 6月吉日

岡山大学医師会
会長  齋藤信也

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