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耳鼻科mini知識

●項目●
嗅覚障害について
アレルギー性鼻炎について
副鼻腔炎(ちくのう症)について
鼻血(はなぢ)
について

嗅覚障害

 嗅覚障害とは

 1.症状

   大きく2つの症状に分けられます

    ・嗅覚脱失減退

     (ニオイが分からない、分かりにくい)

    ・嗅感覚障害

     (別のニオイに感じる、嗅覚過敏、本人だけが強い悪臭を感じる、等)

 2.原因

    まず、ニオイを感じるまでの経路を示します。

   (1)鼻腔⇒(2)嗅粘膜⇒(3)嗅神経⇒(4)大脳 

    この経路のどこかが障害されていると嗅覚障害が起こることがあります。

    代表的な原因疾患を以下に示します。

   (1)鼻腔        (2)嗅粘膜

      慢性副鼻腔炎      炎症(感冒等)

      鼻茸           有害物質吸入

      鼻腔腫瘍         加齢など

      強度の鼻中隔彎曲症など 

   (3)嗅神経       (4)大脳

      頭部外傷など       脳腫瘍

                   脳卒中

                   頭部外傷など

    一般的に多く見られるのが、慢性副鼻腔炎・鼻茸等の鼻腔疾患、感冒後等です。また嗅感覚障害の一部にはヒステリー等の精神的な疾患も含まれます。

 3.検査

   (1)基準嗅覚検査

      幾つかのニオイの試薬を実際ににおってもらい、障害の程度を判定します。

   (2)静脈性嗅覚検査

      アリナミンを静脈注射してニオイを感じる時間によって障害の程度を判定します。

 4.治療

    上記の原因疾患が明らかな場合は、それに対する治療が必要ですが、一般的には以下の薬物療法を行います。

   (1)ステロイド(副腎皮質ホルモン)薬の点鼻

   (2)内服治療(ビタミンB12、代謝賦活剤等)

 5.最後に

    嗅覚障害の治療は一般に困難な場合が多く、早期治療が大切です。ニオイがおかしいと思ったら早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

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アレルギー性鼻炎

■アレルギー性鼻炎とは?

・症状

発作性再発性のくしゃみ、水性鼻漏、鼻閉が3主徴です。つまり、風邪も引いていないのにくしゃみ、はなみず、はなづまりが生じます。症状が1年中ある場合(通年性)と季節性に症状がある場合とがあります。

・病気の原因

ある特定の原因物質(抗原)に対する抗体が体の中で合成された後、再びその抗原にさらされたとき(鼻からその抗原を吸い込んだとき)、上記の症状が生じます。これらの症状は、鼻の中の粘膜でアレルギー反応(抗原と抗体が結びつき、ヒスタミン等の化学物質が遊離し鼻の粘膜を刺激すること)が起きることによります。原因となる抗原は、日本ではハウスダスト(ダニ)が最も多く、次にスギ花粉、その他にはカモガヤ花粉、ブタクサ花粉、カビ(真菌)等があります。

・病気の頻度

アレルギー性鼻炎の患者さんがどれくらいいるのか(有病率)を正確に調査した報告はありません。(調査方法や調査対象によって結果が異なるため。)さまざまな調査を総合すると、現時点でのアレルギー性鼻炎の有病率は10~15%と推定されています。またスギ花粉症に関しては、近年空中飛散花粉数の増加により患者数が急増しているといわれています。

■治療法

・抗原の回避

理論的には、アレルギー性鼻炎は原因となる抗原を吸い込まなければ症状はおきません。したがって、この方法がまずとるべき対策となります。原因がハウスダスト(ダニ)の場合は、室内の清掃、ぬいぐるみを持ち込まない、ソファー、じゅうたん等をやめる、空気清浄機を使う等で、できるだけダニを除去します。原因がスギ花粉の場合は、飛散の多い日は外出を控える、窓・戸を閉めておく、外出時マスク・メガネを使う、帰宅したら洗眼・うがいをし鼻をかむ等でスギ花粉を回避します。これらのことをまめに実行する事でかなり症状は軽くなるはずです。

・薬物療法

最も一般的に行われている方法です。抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬(ヒスタミン等の化学物質の遊離を抑制する薬)、ステロイド点鼻薬等が主に使用されます。抗ヒスタミン薬は速効性が有りくしゃみ、はなみずに効果がありますが、眠気、口渇等の副作用があります。抗アレルギー薬はやや遅効性でくしゃみ、はなみずに加えてはなずまりにも効果があり、副作用は比較的少なくなっています。ステロイド点鼻薬は効果発現がやや早く、はなずまりにも有効で全身的な副作用はほとんどありません。これらの薬を症状に応じて使い分けているのが現状です。また、漢方薬、抗コリン点鼻薬も効果が認められています。

・抗原特異的減感作療法(特異的免疫療法)

原因となっている特定の抗原のエキスを、少量から徐々に増量して皮下に注射を続ける方法です。この治療法の作用機序についてははっきりしたことはわかっていません。長期(2~3年)にわたる通院(1週~1カ月おき)が必要なこと、ごく稀に全身的副作用(呼吸困難、血圧低下、脈拍低下等のショック反応)が生じること等のためにあまり普及していません。有効率は70~80%で、治療開始前にその患者さんに有効か無効かがわからないことも問題点の1つです。しかし、薬物療法の様な対症療法とは異なり、現在のところ長期寛解、治癒が期待できる唯一の方法です。この治療法はアレルギー性鼻炎に対する基本的治療法といわれています。

・手術療法

鼻茸、鼻中隔彎曲症等を合併し強いはなづまりがある場合は、それらを取り除くための手術を行います。また、薬物療法等ではなづまりの改善がみられない場合(鼻の粘膜の腫脹がひどい場合)にも手術をおこないます。この場合は、粘膜を切除する手術、電気で粘膜を灼いてしまう手術、薬剤で粘膜を変性させる手術、粘膜を凍結させて変性させる手術、レーザーで粘膜を灼いてしまう手術等が行われています。現在では炭酸ガスレーザーを用いて鼻の粘膜の表面のみを灼く手術が主流です。この方法は外来手術で可能で、疼痛、出血等の合併症もほとんどみられません。有効率は80%前後です。

■予防法

アレルギー性鼻炎を発症するかどうか(アレルギー性鼻炎になるかどうか)はその人自身の素因によるところが大きく、これを予防することはできないのが現状です。しかし、いったんアレルギー性鼻炎になった人の症状を軽くすませることは可能です。たとえば抗原の回避を行うことは即予防につながります。また、スギ花粉症等の季節性アレルギー性鼻炎の場合は「抗アレルギー薬の季節前投与」という方法があります。これは症状のある時期がわかっている場合、まだ症状のない時期からあらかじめ薬をのんでおき症状を軽くすませる方法です。

いずれにせよ、くしゃみ、はなみず、はなずまり等鼻の症状があって困っている方は、勝手に自分で決めつけずに一度専門医(耳鼻咽喉科医)を受診することです。アレルギー性鼻炎の治療は、耳鼻咽喉科医の診察を受け原因の抗原を調べることから始まるのです。花粉症と思いこんでいても、耳鼻咽喉科医を受診することによって実は副鼻腔炎や鼻茸があったと判明することもあります。また、薬局で購入した点鼻の血管収縮薬を常用することによってかえってひどい鼻閉を生じていることもあります。鼻の中をのぞいて見ることができ、鼻の病気の診断が下せるのは耳鼻咽喉科医しかいません。専門医を受診することによって最も適切な治療を受けることができ、また詳しい生活指導も受けることができるのです。

岡山大学耳鼻咽喉科でもアレルギー外来を設けて、専門の医師が診療にあたっております。

毎週水曜午後1-2時受付しております。(予告なく休診の場合がありますので、電話でご確認ください)

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副鼻腔炎(ちくのう症)

■原因

副鼻腔は鼻腔から中・下鼻道などで連絡された顔面骨中の空洞のことで鼻腔をとりかこむようにある。その副鼻腔の粘膜が、細菌やウイルスに感染したり、ハウスダストや花粉症などのアレルギーが原因で炎症を起こし、膿、粘液が排出されず、副鼻腔にたまるのが副鼻腔炎である。

■症状

症状としては頭重感、頭痛、鼻づまり(鼻閉感)、鼻汁の他にニオイがわからない、などがある。最近はアレルギーが原因である場合が増えている。

■治療

治療としては薬物治療、洗浄、ネブライザー治療などといった保存的治療がある。ネブライザーの蒸気には消炎剤、抗アレルギー剤などが含まれている。そういう保存的治療を三~六か月行っても症状が改善しないものが手術の対象になる。

■手術

従来、副鼻腔の手術は局所麻酔を使い、口内部の上唇と歯肉部の間を切開する方法が主流であった。その方法では治りが早いというメリットはあるが、殆どの患者が術中に苦痛を訴え、術後も腫れが出ることが多い。入院期間は両鼻で三週間、片鼻で十日間くらいであり骨に大きな穴を開けるなどの問題があった。これに対して内視鏡手術法は、骨を大きく削ったり粘膜を完全に除去したり、口側からの切開をしないのが特徴である。内視鏡(直径四ミリ、長さ約十五センチ)を外鼻道から鼻腔に挿入し、モニターで鼻腔内部を見ながら行い、副鼻腔と鼻腔の交通を良好にし、膿や粘液を出やすくするのが手術の中心である。手術時間は、両鼻で一~二時間程度であり、入院期間は一週間~十日間くらいである。ただ、この方法にも問題があり、術後の通院期間が長くかかり、通院期間は一年~一年半と長い。しかし、最小限の手術操作で最大限の治療効果が期待できることから実施する医療機関は増えており、現在、中・四国地方の総合病院のほぼ二割で行われている。勿論岡山大学耳鼻科でも可能なものはすべて内視鏡手術によりおこなっている。

■その他

副鼻腔炎は蓄膿症の名で一般に知られている。

鼻の症状がなくても、長期間にわたる原因不明の頭痛や頭重感がある場合などは一度耳鼻科を受診したほうがよいと思われる。

  
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鼻血(はなぢ)

はなぢの患者さん

 はなぢはこどもによくみられます。耳鼻咽喉科に来られる患者さんのなかでも9歳までのお子さんが全体の3割程度と最も多く、次いで10代、20代となっています。こどものなかでも5~6歳の就学前後が最も多いようです。ところが入院を必要とするほどのはなぢは中高年の方に多く、大人のはなぢは要注意といえます。また大人やお年寄りのはなぢでとまりにくいときにはいろいろな内科の病気がかくれていることがあります。

はなぢがでたら 

 はなぢは鼻の左右のしきい(鼻中隔)の前のほうでおこっていることが多く、この部分からの出血ならここを圧迫するように両側から鼻をつまめば、15分ぐらいで血はとまってくるのがふつうです。よくはなぢがでると天井をみるようにしているひとがいますが、そうするとのどのほうに血がおりてきて飲み込んでしまい、気分が悪くなって吐いたりする原因となりますから、ぐっとあごを引いて下をみるようにして、のどにおりてきた血は飲み込まず、口から出すようにしてください。
これらのことはこどもも大人も同じですので、はなぢが出た時はあわてず、以上のやりかたをしてみてください。それでも止まらないときはもっと鼻の奥で血がでている可能性がありますのでお近くの耳鼻咽喉科で診察をうけてください。

お子さんの はなぢ

おかあさん、おとうさんが、お子さんがよくはなぢを出すといって心配して連れて来られますが、5歳から10歳くらいのこどもの鼻の粘膜は血管が豊富に発達していますのでほんの少し鼻をさわっただけでもはなぢが出やすいといえます。また最近はこどもにもアレルギー性鼻炎が増えてきています。アレルギー性鼻炎の鼻の粘膜は出血しやすいことが知られています。またくしゃみや鼻水といった典型的なアレルギー性鼻炎の症状がなくても、実はアレルギーが原因となっている例が多いといわれています。

おとなの はなぢ

また、大人のかたで、はなぢがよく出る、なかなか止まらないといった場合、いろいろな病気がかくれている場合があります。たとえば高血圧、動脈硬化、肝臓の病気、血液の病気、糖尿病などが原因としてあげられます。また鼻に腫瘍ができていることもありますので、かならず、医師の診察をうけることが大切です。

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