岡山大学文学部は、伝統に基盤を置きつつ、これまで改革を重ねながら着実に発展してきました。その前身である法文学部は、大学創立の1949年に設置されました。その後、1980年に法学部、経済学部とともに分離・独立してできたのが文学部です。当初は3学科制でしたが、学問分野の多様化にしたがう改組を行い、2004年からは、人文学科1学科制で、その中に哲学芸術学専修コース、行動科学専修コース、歴史文化学専修コース、言語科学専修コース、言語文化学専修コースの5専修コースが並ぶ構成ができあがりました。
文学部の学問は人文学といわれます。「人間」や「文化」や「社会」の問題をさまざまな角度から探求する学問です。さまざまな角度とは、例えば哲学、倫理学、芸術学の方法、また心理学、社会学、文化人類学、地理学の方法、また歴史学、考古学の方法、また言語学、文法論の方法、また文学、文体論の方法などです。そして、これらの探求は、単に事象の様相や構造を明らかにするだけでなく、事象の普遍的な意味や価値、歴史的な位置づけを理解しようとします。現在の風潮や価値観を鵜呑みにするのではなく、数千年におよぶこれまでの人類の叡智、少なくとも数百年の将来を見通す長期的な展望、また全世界的な視野に立つ論理的考察です。
というと、文学部の学問は、「実用的」ではないと見えるかもしれません。しかし、文学部で学ぶ内容は、みなさんのその後の社会生活のさまざまな局面において、必ず役に立つし、判断の根拠となると確信します。価値観の多様化する現代、将来の見えにくい現代にあって、文学部の学問は、私たちがよって立つべき見識を与えてくれるのではないでしょうか。社会もそのことに改めて気づきはじめたように思います。いくらか現実的な話になりますが、近年の大学卒業生の就職状況をみると、社会がかれらに要求するのは、特定分野の実践的な知識・技術よりは、むしろ広範な知識と基本的な論理性、それらに基づく大局観や分析力や創造力であると感じています。
21世紀の未来に生きようとする若い力を歓迎します。

