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高橋グループ

伸展可能な平面パッチクランプシステムの開発

イオンチャネルは、細胞の情報伝達に大きくかかわっているタンパク分子です。

このイオンチャネルを介する電流の記録には、パッチクランプ法が用いられます。

しかし、ガラス細管から記録電極を作成する従来のパッチクランプ法には、顕微鏡やファラデーケージなど高価で大掛かりな装置や実験者の熟練した特殊技術を必要とするなど、大きな障壁が立ちはだかっています。

これらの難題を一挙に解決するのが、平面パッチクランプ法です。

この方法はシリコンやガラスなどの平面膜に開けた小孔に、陰圧や誘電泳動によって細胞を引き寄せて記録を行うため、高価な顕微鏡も3軸マニピュレータも不要です。

樹脂製の伸展可能なパッチクランプ用平面電極

平面電極を使用して記録したイオンチャネル電流

ガラス電極作成やマニピュレータ操作によるギガオームシール形成など熟練を要する操作がまったくなくなるため、より多くの人が簡単に実験を行うことができます。

平面パッチクランプ法は画期的な方法ですが、生体内で常に生じていると考えられる伸展刺激を細胞膜に与え、機械感受性イオンチャネルの電流応答を記録できるシステムはまだ存在しません。

この研究の目的は、機械感受性イオンチャネルの機械応答を記録できる、操作が容易な平面パッチクランプシステムを開発し、生体の機械感受機構の解明に資することです。

心筋細胞の機械感受機構の解明

■ラットの心筋培養細胞を用い、伸展誘発性の不整脈の発症メカニズムを研究

■これまで困難だった、心筋細胞における機械応答を再現性よく測定する方法を確立

■CHO細胞強制発現系での単一チャネルパッチクランプ、心筋培養細胞株H9c2へのFluo4・Fura-2導入によるカルシウムイメージング、機械感受性イオンチャネルのRNAi、定量RT-PCRによるmRNA発現量解析、ウェスタンブロッティングによる膜蛋白発現量解析

■ラットのランゲンドルフ灌流心による、in vivoでの機械感受性の評価

心筋細胞株H9c2の伸展誘発性Ca応答

ランゲンドルフ灌流心による心臓の機械感受性の評価

膜蛋白質の粗視化分子動力学シミュレーション

■最先端の粗視化分子動力学シミュレーション手法を取り入れ、脂質二重膜上のタンパク質モデル系を構築

■スーパーコンピュータHX600にてシミュレーションのソースプログラム(C, Fortran)をコンパイルし、最大1024個のCPUによる並列実行環境を構築

■タンパク立体構造の高精度な予測を行うソフトウエアrosettaをコンパイルし導入

■全原子シミュレーション系(脂質二重膜モデル)にて、引っ張り力を与えた時の原子間・分子間相互作用(ねじれ角、結合力、クーロン力など)を解析

※下のムービーファイルを再生するには、Windows Media Playerのアドオンを有効にしてください。

脂質二重膜中のMscLチャネルの粗視化モデル

膜張力を加えたときのMscLの開口シミュレーション

生体内に生じる応力の3次元有限要素解析

■ヒト被験者の実験データを基に、皮膚表面から外力を与えたとき皮下組織や筋などの深部組織で生じる応力を構造力学シミュレーションで推定

■スーパーコンピュータHX600使用

■ヒト前腕部のMRI断層画像を基に、皮膚、皮下組織、筋、骨から成る構造力学シミュレーションモデルを作成

■1.5テスラの強磁場内で定量的な外力を与えるため、アクリル製加圧装置を設計・開発(名古屋大学全学技術センターとの共同開発)

ヒト前腕部の有限要素解析モデル

皮膚表面から圧力を与えたときの応力解析

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