生化 of 岡山大学医学部

生化学研究グループ

精神・神経疾患の病態解明や向精神病薬の薬理機序の解明を生化学、分子生物、分子遺伝学的手法で研究している。

統合失調症の動物モデル(逆耐性モデル、PCPモデル)を用いた分子生物学的研究
統合失調症の発症機序、再燃機序精神科最大の謎である。解明する1つの手段としてモデル動物を用いた研究を行っている。最も代表的な薬理モデルであるメタンフェタミンやコカイン反復投与による逆耐性モデル、フェンシクリジン(PCP)投与による陽性症状・陰性症状・認知障害の症状モデルがあり、これらを使って検討している。特に、前者の研究は当ラボが日本で最初に始め、研究をリードしてきた。その意義やメカニズムについて多くの発見をし、その成果は世界的にも認められている。
精神疾患の発症脆弱性の遺伝子研究
統合失調症、躁うつ病、アルツハイマー病などの精神神経疾患は、高血圧や糖尿病と同様に発症頻度が高く“ありふれた病気(Common disease)”と位置づけられている。その発症には環境因子と遺伝因子が影響することがわかっている。精神科での遺伝子研究は従来は成果が上がっていなかったが、2001年のヒトゲノム解析終了と期を同じくして、華々しい成果が世界から報告されている。当ラボでもこれら疾患の遺伝子研究をしており、神経成長因子の1つであるCNTF遺伝子が失調感情障害の危険因子であることを2001年に発見して以来、 CNR1, DRP-2, FZD-3、GABRA5遺伝子などが統合失調症や躁うつ病に関わることを次々と発見している。
脳向精神病薬治療のテーラーメード化のための基礎的研究
薬物の効果や副作用の出現には個人差が大きく、それは個人の素因によることがわかり、ゲノム解析が行われている。抗ガン剤などでは既に臨床応用がスタートしている。向精神病薬の治療では当教室は大月教授時代に“合理的薬物療法”という概念を打ち出し、これは、最近の主流となっている治療アルゴリズムに受け継がれている。これら薬物選択における科学的根拠のために、抗精神病薬や抗うつ薬投与での治療効果や副作用発現におけるゲノム多型の関与を解析している。これらにより、精神科でのテーラーメード化医療の実現に向けて研究している。
覚せい剤精神病の研究
統合失調症の発症機序、再燃機序精神科最大の謎である。解明する1つの手段としてモデル動物を用いた研究を行っている。最も代表的な薬理モデルであるメタンフェタミンやコカイン反復投与による逆耐性モデル、フェンシクリジン(PCP)投与による陽性症状・陰性症状・認知障害の症状モデルがあり、これらを使って検討している。特に、前者の研究は当ラボが日本で最初に始め、研究をリードしてきた。その意義やメカニズムについて多くの発見をし、その成果は世界的にも認められている。
精神疾患の発症脆弱性の遺伝子研究
覚せい剤精神病の研究は、1980年代の佐藤光源(現、東北大学名誉教授)から始まった。一連の研究で覚せい剤精神病患者にも動物で見られるのと同じ逆耐性現象が観察されること、これは統合失調症でいわれる履歴現象と酷似することがわかった。このことの意義は、覚せい剤精神病の研究が、それ自体の研究に留まらず、統合失調症の再発機序の研究に大きく寄与することがわかったことである。現在は、多施設共同研究としてJGIDA(ジェイガイダ)を立ち上げ、遺伝子解析により研究している。多くのことが明らかになってきており、世界のトップを走っている。米国国立研究所 NIHのNIDAのUhl博士、ジョンズホプキンス大学のSawa博士などと共同研究している。
統合失調症メカニズムの分子生物学、細胞生物学、薬理学的検討
培養細胞やプライマリーカルチャーニューロン、実験動物に統合失調症の疾患候補遺伝子を強制発現させる、RNA干渉を用いて発現抑制することで、統合失調症の疾患候補遺伝子蛋白の機能解析を行い、統合失調症のメカニズムを解明する。また、抗精神病薬が、神経細胞にどのような影響を直接及ぼすかを合わせて検討し、統合失調症の臨床と研究の橋渡しをするような研究を行っている。この研究は、統合失調症研究の最先端でありトップクラスの論文を出し続けている米国Johns Hopkins大学のSawa教室、シナプス研究の最先端である米国North Western大学Penzes教室の協力を受けて行っている。
向精神病薬の治療効果の脳内メカニズムの研究
意外なことに“向精神病薬がどこで、どうやって効くのか?”という点では正確なことはほとんどわかっていない。脳マッピングという手法で“お薬が脳のどこで効いているのか”を調べたり、 それがどの神経伝達物質と関係があるのかを検討している。これらのデータから抗うつ薬の作用機序としてGolf仮説という全く新しい学説を発表している。また、 新規の抗精神病薬や抗うつ薬が神経新生を引き起こすかどうかというのは最近の大きなトピックスであるが、エール大学のDuman博士と共同研究をしている。
性同一性障害の生物学的研究
性同一性障害というのは精神科においては新しいテーマであるが、当教室は西日本のセンターとして包括的治療に取り組んでいる。一方で、その発症原因は全くわかっていない。 そこで、患者さんの協力の下、生物学的機序について解析をしている。最も有名な“エストロゲンシャワー仮説”がどうも間違っているらしいことを見いだしてきた。 一方で、性同一性障害の同胞例や双生児例を発見し、遺伝的影響の多いことを報告してきた。“性の自己認知”の脳内メカニズムという非常に大きなテーマに取り組んでいる。