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日本留学海外拠点連携推進事業(東南アジア)

岡山大学日本留学情報センター

ミャンマーの高等教育

ミャンマーの高等教育

 ミャンマーでは、教育課程は大きく二つに分けられる。基礎教育と高等教育である。基礎教育には幼稚園、小学校、中学校、高等学校が含まれ、年数は、それぞれ、1年、4年、4年、2年となっている。幼稚園に入学する際の年齢は5歳で、高校卒業時は16歳である。

 大学教育以後を高等教育と呼ぶ。大学は、高校最終学年である10年生の試験の点数によって、申請できる大学が決められ、振り分けされる。

 大学は4年制で、修士課程以上があるUniversityと学部のみのDegree college、2年制のcollegeに分かれ、授業料、試験料等を納入する。

 授業は一コマ55分で、一日6コマあり、大学での授業内容は専攻に応じ全国共通、同じテキストを用いて行われている。授業の形態は講義が中心で、学生の勉強も暗記が中心となっている。

  • 基礎教育⇒幼稚園(5歳入学、1年)+小学校(4年)+中学校(4年)+高校(2年)
  • =(16歳)11年
  • 10年生(高校2年)試験=大学入学試験、全教科の合計得点、居住地に従って
  • 志望大学を申請、振り分けが行われる。
  • 修士課程以上のあるUniversity 学士課程のみのDegree College、 2年制のCollege
  • に大きく分類
  • 大学数⇒国立169校(2015年度)<*大学の所属省庁と数参照>
  • 多くの私立Collegeが開校(2011年私立学校設立法制定)
  • 授業料の他, 試験料、実習費、スポーツ、大学雑誌などの経費
  • 授業:全国共通のシラバス、カリキュラム、講義、暗記中心
  • 1コマ55分授業、9:00-9:55,10:00-10:55, 11:00-11:55,11:55-12:30(昼休み)
    12:30-13:25,13:30-14:25,14:30-15:25

 学年歴は、学部と大学院によって異なる。学部は2学期制で、1学期が12月から3月、4月5月が休みで、2学期が6月から9月となる。10月11月が休みで、このあいだに遠隔教育といわれる通信教育が行われる。

 修士課程、博士課程については、1学期は6月から9月、2学期は12月から3月である。休暇期間は、同様に10月から11月と4月から5月である。

【学部】

  • 1学期(12月1日~3月31日)2学期(6月1日~9月30日)
  • <遠隔教育(10月1日~11月30日)>
  • 試験期間 (3月20日頃~3月27日頃まで)
         (9月20日頃~9月27日頃まで)
  • 休み(4月1日~5月31日)、(10月1日~11月30日)

【大学院】

  • 1学期(6月1日~9月30日)2学期(12月1日~3月31日)
  • 休み(10月1日~11月30日)、(4月1日~5月31日)

① ミャンマーの大学は、すべてが教育省の管轄下にあるのではなく、関係する省庁がそれぞれの大学を管轄している。(例)医科大学―保健省

管轄省庁 監督機関及び大学等教育施設名 大学数(2015年)
教育省 人文科学(文理科)、語学、経済、教育 68
保健省 医科、歯科、薬科、看護大学他 15
科学技術省 工学系大学、航空宇宙大学、コンピュータ 62
防衛相 防衛大学、軍医科大学、軍工科大学、 6
文化省 民族芸術及び文化大学 2
森林 森林大学 1
農業灌漑省 農業大学 1
畜水産省 畜産獣医大学 1
協同組合省 協同組合大学 5
宗教省 テーラワーダ仏教布教大学他 3
国境省 連邦民族青年能力発展ディグリーカレッジ,大学 3
運輸省 海事大学 2
総数 169

② ミャンマーでは、軍政期において学生運動が民主化運動の母体であったため、度重なる大学の閉鎖が続き、何年間かの積み残しを解消するための措置として、3年制の導入、遠隔教育の拡充、大学の増設などが行われた。その結果教員不足など問題も山積で、高等教育の質の低下を招いたと言える。

1988年民主化運動(以後10年あまり、閉鎖と再開を繰り返す)
1992年遠隔教育(80年に始まった通信教育改め)の開始
1993年ダゴン大学設置後、学部教育はヤンゴン市内から遠く離れた地域に移転
この頃大学3年制に
1994年大学院大学と化していたヤンゴン文理科大学、続いてマンダレー文理科大学で大学院Ph.D授与開始
2000年大学全面的に再開
▶︎高等教育機関の数 1988年から2009年の間に倍増
 すべての州、管区に、文理科大学、教育大学、コンピューター大学
  →教員の不足
▶︎防衛大学、軍医科大学、軍工科大学は閉鎖されず防衛医学アカデミー、
 防衛看護大学など拡充
  → 高等教育の質の低下、受難の時期

③ テインセイン政権下では下記の10の目標が掲げられ、様々な改革が推進されてきた。

  • 無償義務教育制度の実施
  • 基礎教育セクターにおける就学率の増加
  • 人的資源開発において、新世代の知識人・知的指導者を育成
  • 基礎教育及び高等教育両セクターの教員の能力の改善
  • 補助教材のより効果的な活用
  • 教育関係者の資質及び社会経済的地位の向上
  • 国内的・国際的奨学金・教育支援給付金・報奨金を支援する
  • 民間セクターの教育サービスへの参加、貢献に関わる関連法の公布
  • 国連、国際NGO、NGOを含む国際機関、閣内機関と協力する
  • 教育水準を国際レベルに向上させること

 2011年には私立学校法が成立し、正式に海外の大学もしくはそれらとリンクした私立のカレッジなどがオープンするようになる。

 他方で2014年9月30日には、新たに国家教育法が制定された。

 その中には、基礎教育12年制への移行、大学を一部を除いて教育省傘下に戻す、大学の自治を推進するといった条項も入っていた。しかし軍政時代、学生運動を抑え込むことを主眼とした教育政策が続いたことによる大学と学生の間の信頼関係の欠如という負の遺産が払拭できず、反対運動を招く結果となった。

 改正国家教育法は2015年6月16日に成立したが、関連法、施行細則などは成立しておらず、実施の時期も未定である。2015年11月現在、逮捕者学生たちの拘束は継続している。

  • ▶︎国家教育法 2014年 9月30日 制定
  • ▶︎それに対する批判デモ、11月中旬から展開
  • ▶︎2015年2月11日、4者(政府代表、議会代表、国民教育改革ネットワーク代表、学生代表)間協議、11項目の要求を政府側が原則受け入れ修正ドラフト提示(2月19日)もデモ続行
  • ▶︎3月10日制圧
  • ▶︎3月5日~3月17日まで前出4者話し合い
  • ▶︎国家教育法を修正する法律ドラフト提出後、改正国家教育法2015年6月16日成立
  • ▶︎2015年11月現在、逮捕者学生たちの拘束継続

11項目の要求

  • ⑴ 教育法の理念、法律、施行規則、関連法を起草する際には、政府、国会議員、NNER、学生の四者が協議する
  • ⑵ 学生連盟、教師連盟を自由に合法的に設立できる
  • ⑶ 「国民教育委員会」、「高等教育合同協議会」の用語を含む条項を削除する
  • ⑷ 地域、学校による教育の自治権尊重に原則同意する
  • ⑸ 現在実施している試験制度、大学入学制度を改革することに原則同意する
  • ⑹ 学生の思想の自由、自主研究を中心とした指導へと移行する
  • ⑺ 少数民族の言語、母語を基礎とする多言語教育への移行
  • ⑻ 障害のある子を含むすべての子供たちを対象とした教育
  • ⑼ 学生運動の時期に学校を放校処分になった学生を学校に復帰させる
  • ⑽ この5年のうちに、教育予算を国家予算の20パーセントにすることを目標にする
  • ⑾ 無料の義務教育制度を、小学校のみならず、中学校まで拡大する