「精神鎮静法(鎮静 セデーション)」とは

歯科治療および口腔外科手術に対する精神的緊張を、薬物(鎮静薬)投与によって緩和(リラックス)する方法で、精神的緊張のみならず、筋肉の緊張の緩和(筋弛緩)、異常な反射の抑制、治療中の刺激や不快感を覚えていない(健忘)作用などもあり、ストレス制御法の一つとして、位置づけられています。

適応

1.知的障害者の歯科治療における行動調整(ストレスを軽減した歯科治療)
2.歯科治療恐怖症(歯科治療・抜歯などが怖くて治療ができない)
3.強い嘔吐(咽頭)反射(口の中に器具が入ると「オエー」となってしまう)
4.不随意運動(歯科治療時に開口できない、あるいは姿勢保持ができない)
5.循環器疾患などの基礎疾患へのストレスを最小限にしたい(病院に来ると血圧が異常に高くなってしまう)
6.局所麻酔下で行われる長時間または比較的侵襲の大きな歯科治療(多数歯のインプラント治療など)
7.歯科のストレスに弱い(歯科治療中に気分不快や意識消失したことがある)

方法

1.静脈内鎮静法
特徴:静脈から鎮静薬を投与し、鎮静効果を得る方法で、効果の発現が確実で健忘効果が強いという特徴があります。
手順:
1)説明と同意

2)術前評価
3)モニター(血圧計など)装着

4)静脈確保(点滴)

5)酸素投与
6)鎮静薬投与

7)鎮静程度の調整
8)局所麻酔(必要であれば)
9)歯科治療・口腔外科手術

10)鎮静薬の停止
11)回復

12)治療内容の説明

 

2.亜酸化窒素吸入鎮静法
特徴:鼻マスクより亜酸化窒素と酸素を流し、吸入により鎮静効果を得る方法で、静脈確保(点滴)の必要はなく、比較的容易にできますが、鎮静効果はやや不確実です。

手順:
1)説明と同意
2)術前評価
3)モニター装着
4)鼻マスクの装着

5)亜酸化窒素と酸素投与開始

6)鎮静程度の調整

7)局所麻酔(必要であれば)
8)歯科治療・口腔外科手術
9)亜酸化窒素の停止
10)回復
11)治療内容の説明

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