歯学部

食べる喜び,いきいきとした表情,調和のとれた口腔の機能,その神秘を追求し,あらゆる科学技術を駆使し,創造する人材を育成する。

 口の健康管理(Oral Health Care)を通して国民の健康な生活を確保することが歯科医師の務めです。口は,息をしたり,物を食べたり,会話をするなど人が生活していく上でなくてはならない大切な器官です。また,最近では,物を咬むことが記憶や学習の効果を高めるなど口と脳との関わりも重要視されています。このように大切な口の健康を管理するため,病気の治療や予防に関する研究だけではなく,口を含めた身体の構造や働きを明らかにしていくのが歯科医学です。
 昭和54年に設置された岡山大学歯学部は,総合大学の特性を生かして良き歯科医療人を育成し,歯科医学を研究・発展させることを目的としています。患者さんを診るには,病気の予防・治療に関する多くの知識と優れた技術,更に倫理観と豊かな人間性が必要です。また,生体の本質を究明するためには,科学的な知識や論理的な思考に基づく洞察力が必要です。歯学部では,人間性と科学技術をはぐくみ,それを土台として最先端の科学研究や高度の歯科医療を行っています。歯学部6年間の教育課程の前半は,主として深い教養,豊かな人間性,厳しい倫理観など人間形成の教育ならびに早期見学実習,身障施設の見学実習,歯学概論などを通して医療人としての心の育成の時期と考えています。また,この時期には人体,特に口腔系の構造・機能,病的状態,その原因,薬剤,歯科医療材料など基礎科目の講義・実習があり,さらに歯学部独自のプログラムである短期留学制度(ODAPUSプログラム)や各研究室に配属されての自由研究演習など様々に工夫された科目が用意されています。後半はムシ歯,歯槽膿漏,歯並び,口の癌などの診断・治療や失われた口腔機能の回復だけでなく,積極的に予防,あるいは小児の口腔の発育・成長を管理するなどの専門科目の講義・実習を受けると同時に,一般医学の科目も医学部の先生から教授されます。これらの科目の単位を全て修得した後,5年次から6年次にかけて,患者さんと接触をもつ臨床実習が行われます。また,この直前には学生の評価に関わる共用試験(CBT,OSCE)があります。これらの課程修了後,歯科医師国家試験に合格すれば歯科医師免許が与えられ,診療に携わることができます。
 歯学は総合的な学問で,岡山大学歯学部では自然科学から人文・社会科学的な分野まで幅広い領域の教育・研究が行われており,必ずしも理科系のみの学部ではなく,多彩な人材が活躍できる学部です。

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