臨床実習風景

 歯学部の学生が学ぶ臨床科目には歯科独自の歯科保存学,歯科補綴学など,ものを食べたりおしゃべりをする機能を回復させる歯に関する学問や,歯並びを治したり口の発育をうまく誘導する歯科矯正学,小児歯科学と言う学問,口の周りの怪我やガンを治療する口腔外科学,口の病気を予防する予防歯科学などがあります。また,これらに加えて内科学,外科学,整形外科学,小児科学などの医学臨床科目も学ばなければなりません。歯科独自の臨床科目を担当する教官は,教授が11名,助教授が10名,講師が19名,助手が47名です。
 5年生になると臨床実習が始まります。臨床実習では,学生が教官の指導の下で患者さんの治療をすることになります。岡山大学歯学部では真に実力のある歯科医師を養成することに主眼をおき,臨床実習を重視しています。このころの学生は忙しくて,アルバイトはなかなかできません。でも,充実した一年間です。




研究室での討議風景

 基礎系の学問分野は,臨床歯学の教育・研究や診療を行うのに必要な裏付けとなる知識を講義したり,研究するところです。8の分野にわかれ,人体の構造やはたらき,癌などの病気の成り立ち,臨床で使われる工学技術などを講義します。研究面では,口腔の働きをコントロールする脳,感染症などで反応する免疫系など,口腔だけでなく全身が対象になります。また薬物が人体にどのような影響を及ぼすかを調べたり,細菌やウイルスについての研究も行われていますし,人工臓器に使われるセラミックなど様々な医用材料の研究をする科学者もいます。各分野には,それぞれの専門分野で使われる特殊な実験設備があるほか,共同利用施設では,遺伝子工学・細胞工学・細胞内電位の記録・電子顕微鏡など,研究に必要な最先端の機器を備えています。
 このように広い分野の専門家が行った研究の成果は,学会で発表されるだけでなく,学生の講義や実習にもとりいれられ,臨床にも応用されています。


山本 龍生 歯学部附属病院講師

 「岡山大学出身の先生は,歯を抜かずにできるだけ残してくれる。」最近の巷の噂である。歯を残して,「一生自分の歯で食べることのできる社会」を実現することが歯科医師の使命である。歯学部では,口腔の健康を通じて快適な社会とするための知識と技術を学習する。ただし,知識はどんどん新しくなるので記憶するだけでは役に立たない。常に最新の「正しい」知識が得られるよう,「問題発見・問題解決能力」を身につける。
 


衣田 圭宏 大学院医歯学総合研究科助手

 歯学部で学ぶということは,卒業後社会の人々に対してどのように貢献できるのでしょうか?さまざまな疾患が原因で歯やその他の口腔組織に障害が生じ,「おいしく食事ができない」「発声が困難」「審美性が気になる」という人々に健康な日常生活を取り戻してあげる。そして健康の保持増進をはかる。これは歯学部で学んだ者が研究や診療を通じて常に目指すテーマの一つです。この行為はときにはその人の「生きがい」を取り戻し,その人生をも改善するという非常に重要なものになります。なんてやりがいのある分野だとは思いませんか?ぜひともこの学問に興味を持ってみてください。
 




咬みしめ運動によって大脳皮質の支配領野に
信号のみられたMRI像(functional MRI)

 岡山大学医学部・歯学部附属病院では歯学部学生が,講義や基礎実習及び模型実習などを通じて修得した知識や実技をもとに,5年次後半から6年次にかけて臨床実習を行います。臨床実習では患者さんを対象にして教官の指導のもとに,診断,処置及びアフターケアなどについて実習を行います。
 また医学部・歯学部附属病院では歯科医学及び歯科医療の発展に寄与することを目的として,各種の研究が活発に行われています。
 地域の歯科医療の中枢にふさわしい病院として,CTやMRIなど最先端の診断設備や充実した診療設備を持ち,これらの学生教育や研究を支えています。
 12の診療科を中心に特殊歯科総合治療部,看護部,薬剤部,技工室などが連携して,歯顎口腔領域に発現する様々な異常,疾患及び外傷,あるいはこれらに伴う組織や器官の欠損などの治療に当たっており,活発でレベルの高い診療活動を行っています。


神武 利早 歯学部 4年

 時代の変化と共に求められる医療人の形も変わってきています。岡山大学歯学部では,そういった変化に柔軟に対応した教育が行われていると感じています。実際学外実習,チュートリアル学習,研究発表会,短期留学制度や研究室配属などを通してコミュニケーション能力,倫理観,広い視野などが身につき,個人の能力やたくさんの可能性に気付くことができます。もちろん熱心な先生方による高度な学問や,臨床に対応した実習も充実しており,6年間ここで学べばきっと自信を持って歯学医として社会に出られると思います。
 



臨床実習に入る前の共用試験(OSCE)の風景 より良い教育を目指した,教員のFD
(Faculty Development)研修の風景



黒井 隆太 歯学部 6年

 岡山大学歯学部を目指している皆さん,歯学部がどんなところか知っていますか?
 岡山大学歯学部ではチュートリアルといって,自分達で疑問を出し,解決していくといった「問題発見,問題解決能力」を身に付ける教育が積極的に取り入れられています。良い先生,良い設備に囲まれ,歯科医師になる上での人間性,倫理観,考え方を養うには最良の環境だと感じています。よく学び,時には遊び,広い視野を持った歯科医師を目指して下さい。
 

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