藤澤和謙助教と大学院博士後期課程 珠玖隆行氏が
第44回地盤工学研究発表会 優秀論文発表者賞を受賞しました。


藤澤和謙助教 発表題目:土内部の土粒子移動に起因するパイピングの進展解析

《発表内容》
 ダムや堤防などの水の浸透を受ける土質構造物においては構造物内の土粒子が浸透流の作用によって流亡し、空洞化や水みち(=浸透流が局所的に集中する領 域)の形成を経て崩壊に至る可能性がある。このような土の崩壊現象はパイピングと呼ばれ古くから知られているが、現在に至るまでその現象を解析する方法は 確立していない。
 本研究では土塊内で発生する土粒子の侵食や移動を侵食速度の概念を用いて定式化及びモデル化を行い、それらを数値的に解析する手法を提案した。さらに、 その解析結果が実際のダムや堤防等の土構造物で発達するパイピングの進展過程を定性的に表現できることを示した。




珠玖隆行氏 発表題目:局所載荷模型実験における変形計測値のデータ同化

《発表内容》
 地球科学の分野において、物理数理シミュレーションモデルと観測データを組合わせ、 予測精度の向上を目指す「データ同化」と呼ばれる手法が注目されている。本研究では、 データ同化手法の中でも非線形・非ガウス性の問題にも容易に適用可能な「粒子フィル タ」に着目し、その地盤解析への適用性・有効性について局所載荷模型実験を対象に検 証した。
 本研究により、データ同化・粒子フィルタが地盤解析にも有効であること、および、 粒子フィルタにより、これまで同定が困難とされてきた弾塑性構成モデルのパラメータ 同定が可能であることを示した。


藤澤和謙助教、村上 章教授(京都大学大学院農学研究科)、西村伸一准教授が
農業農村工学会 優秀論文賞を受賞しました。



論文題目:土の内部で生じる土粒子侵食の解析手法

《内容》
 土塊の内部を流れる浸透水によって土粒子の侵食が生じた場合、水みちが形成され、フィルダムやため池に代表される水利土質構造物ではパイピング崩壊に至る可能性がある。これまでに土内部の侵食については実験的な研究がほとんどであり、解析手法の発展が遅れているのが現状である。本研究の目的は、土の内部において生じる侵食を記述できる解析手法を提案することにある。本論文では侵食速度(単位時間の間に単位面積当たりから侵食によって流体に取り込まれる土粒子の体積)を用いて土内部の水の流れと土粒子の侵食・輸送に関する支配方程式を導出し、それらの方程式を数値的に解く方法が提案された。提案された手法を用いた解析結果から、本手法によって既往の実験結果を良好に再現できることが明らかとなった。

《賞状》



大学院博士前期課程2年の宇志呂裕一くんが
土木学会平成22年度全国大会 第65回年次学術講演会 優秀講演者として表彰されました。



発表題目:付着損失RC部材のファイバーモデルによる曲げ耐力計算

《内容》
 鉄筋が著しく腐食した鉄筋コンクリート桁や補修課程で鉄筋をはつり出したものでは,鉄筋とコンクリート間の付着力の低下や消失が起きる.このような部材には部材断面の平面保持を仮定する従来の耐力評価法は適用できない.今回,付着損失を生じた鉄筋コンクリート部材の曲げ耐荷性状をファイバーモデルに基づく解析により検討した結果、既往の実験結果に近い結果を得ることができた。

《賞状》



大学院博士前期課程1年の大久保 樹くんが
第65回農業農村工学会中国四国支部講演会 支部賞(奨励賞)を受賞しました。



発表題目:効率的脱水を可能とする改良型フィルタープレス機の開発

《内容》
 近年,日本各地に存在するため池や湖沼では,水質の改善・貯水容量の確保を目的として,堆積する汚泥の浚渫処理が行われている.今回は,効率的な脱水処理を可能にするための改良型フィルタープレス機の開発について検討した.従来のフィルタープレス機の問題点として,脱水中にろ室のフィルターが目詰まりを起こすことが挙げられる.そこで,従来の脱水処理システムに吸引・透気のプロセスを加えることで,目詰まりを緩和し,効率的な脱水が可能になることを模型実験により実証した.


藤澤和謙講師、村上 章教授(京都大学大学院農学研究科)、西村伸一准教授が
地盤工学会論文賞を受賞しました。



論文題目:Numerical Analysis of the Erosion and the Transport of Fine Particles within Soils Leading to the Piping Phenomenon

《掲載誌》Soils and Foundations, Vol.50, No.4, pp.471-482, 2010.

《受賞理由》
  本論文は、連続体力学を基礎とした土質力学の範疇では従来困難と考えられてきた、土の侵食・ハイピング現象の解析・再現に取り組んだ論文である。侵食速度の概念を導入することにより、連続体力学における諸量をもとにして土の内部侵食の解析を可能にしており、特にパイピングによる長期的な解析で「水みち」まで再現している点は、明快かつ斬新なアイディアの独創性で、高く評価できる。本手法を用いると今後は河川堤防や斜面の地下水位の挙動、降雨による不安定化や崩壊現象の解明に対しても取り扱うことができると考えられ、それらの対策工法の検討に利用できるなど、その実用性は高いと判断でき、本論文は論文賞(英文部門)としてふさわしいと認められた。

《内容》
 The phenomenon of piping results from the erosion of soil particles and their transport within a soil mass. In this paper, a numerical method is proposed to analyze the erosion within soils and the transport of eroded soil particles by adopting the concept of the erosion rate of soils. For the analysis, the saturated-unsaturated seepage flow of the pore liquid, the detachment of the soil particles from the soil fabric, and the migration of the eroded particles need to be considered, and the equations related to the conservation of the pore liquid and the eroded soil particles are numerically solved. The results have revealed that the method can reproduce the experimental data from previous studies on the internal erosion of soils and that it qualitatively predicts, from the numerical experiments, the typical development of piping within soils, such as soil blocks and embankments, as the solutions to the initial and the boundary value problems of the governing equations.


珠玖隆行助教が第46回地盤工学研究発表会優秀論文発表者賞を受賞しました。


発表題目:粒子フィルタによる土構造物の信頼性設計

《内容》
 国内の社会基盤施設の設計法は,仕様設計体系から信頼性設計を基本とした性能規定型の設計体系に移行しつつある。その一方で,盛土や堤防などの土構造物に対する信頼性・性能設計は,設計手法・計算モデルの予測精度の低さや地盤パラメータの不確定性に起因する種々の問題を有している。  本研究では,土構造物の性能照査に適用可能な信頼性設計手法を新たに提案し,その有効性について,軟弱粘性土地盤上に築造される盛土の残留沈下問題に適用することにより検証した。その結果,提案手法は明示的・定量的な性能照査にも十分適用可能であり,土構造物の性能設計において有力なツールとなり得ることを示した。


藤澤和謙講師が平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰・若手科学者賞を受賞しました!

業績名:浸透による土の内部侵食と土粒子輸送の研究

《内容》
 土粒子の流亡は地盤や土構造物の劣化や破壊に関係する主要な原因にも関わらず、その発生過程では土粒子が移動・流出するため、土を連続体の固体として扱う方法では解析が困難と考えられてきた。 藤澤和謙氏は、侵食速度の概念を導入することで、パイピングの進展解析を連続体の解析手法の範疇で可能にした。本成果は侵食速度に応じて間隙率の時間変化を直接的に解くという簡明かつ斬新な方法によって、偏微分方程式の初期値・境界値問題としてパイピングの進展解析が可能であることを初めて示したものである。 本研究成果は、斬新なアイデアによって土粒子の移動現象を取り扱うための重要な足がかりを提供しており、地盤工学・土質力学の学術的な発展に大きく寄与するものと期待される。


藤澤和謙講師が第7回アジア地盤工学者会議 最優秀発表者賞を受賞しました。

発表題目:「COMPARISON OF NUMERICAL SIMULATION AND EXPERIMENTAL OBSERVATION OF EMBANKMENT BREACHING CAUSED BY OVERFLOW」
     (堤体の越流破堤に関する数値解析と実験結果との比較)

《内容》
 第7アジア地盤工学者会議では西アジア、東アジア、東南アジアの17の国々から当該分野の若手代表者が集い、研究発表とディスカッションが行われました。受賞者は近年頻発する堤防等の越流破堤現象の数値解析と実験についての研究報告を行った結果、最も良い研究発表と評価され、最優秀発表者賞(Best Presentation Award)の受賞に至りました。同賞は、34名の発表者の中から1名に与えられました。







珠玖隆行助教と長尾遥奈さん(大学院博士前期課程)が農業農村工学会中国四国支部支部賞(奨励賞)を受賞しました。


珠玖助教発表題目:MPS法による地盤材料の変形挙動評価

長尾さん発表題目:豪雨によるため池の越流破堤と洪水解析

《内容》
珠玖助教:本研究では,粒子法の1つであるMPS(Moving Particle Semi-implicit)法に着目し,その地盤材料の変形挙動への適用性について基礎的な検討を行った.はじめに,ベンチマークテストとして,ダムブレイク問題とフレッシュコンクリートのL型フロー試験を取り上げ,プログラムの検証を行った.さらに,MPS法を実際の地すべりに適用し,その適用性について検証した.その結果,MPS法はベンチマークテストに関する既往の実験結果を再現できること,実斜面の崩壊挙動を定性的に説明できることを示した.

長尾さん:本研究は,豪雨時のため池決壊の主原因である越流現象の発生確率と,ため池決壊による下流域の浸水被害について検討し,改修の判断基準となる越流破堤のリスク評価に生かすことを目的としている.多様な降雨波形の擬似降雨を用いた越流確率の算定を行い,堤体物性値の不確定性を考慮した決壊時の洪水解析を用いて,特定地点での浸水確率を求めた.



珠玖隆行助教と西村伸一教授が平成24年度地盤工学会論文賞を、珠玖助教が地盤工学会平成24年度国際会議若手優秀論文賞を受賞しました!


論文賞:Parameter identification for Cam-clay model in partial loading model tests using the particle filter/「Soils & Foundations」Vol.52(2)

国際会議若手優秀論文賞:Data assimilation strategies for parameter identification of elasto-plastic geomaterials and its application to geotechnical practice

《論文賞受賞理由》
本論文は,モデル内に含まれる隠れたパラメータ群の最適値を,観測値のみから推定することを目的とするデータ同化手法(粒子フィルタ)を用いて,地盤挙動を表現する弾塑性モデルのパラメータを合理的に決定しようとするものである。弾塑性モデルのパラメータ同定にSISと呼ばれるアルゴリズムが有効であることを論理的に導き,さらに種々の条件下での数値実験,模型実験から得られた観測値に適用して,その有効性を実証している。地盤の挙動予測に際し,従来型のパラメータ設定に留まらず,動態観測値と厳密な数学的手法からパラメータを逐次推定することで,地盤解析の予測精度を高める本論文の取り組みは,今後の地盤工学の発展に大いに貢献するもので,論文賞(英文部門)としてふさわしいと認められた。

《国際会議若手優秀論文賞受賞理由》
本研究では,データ同化手法の一つである粒子フィルタを弾塑性地盤材料のパラメータ同定問題および実地盤構造物の挙動評価に適用し,その有効性について検証した.土の構成モデルとしてCam-clayモデルを用い,そのパラメータのみならず,初期応力も同定対象とし,系統的な数値実験を実施した.一連の計算結果より,粒子フィルタによってどのような仮定も設けることなく,弾塑性構成モデルのパラメータが精度よく同定できることを明らかにした.さらに,同定対象となる地盤パラメータの確率分布を評価できること,および,観測データを取得するに伴いその確率分布が更新されることを示した.地盤パラメータのみならず,沈下量や側方変位の確率分布も評価できることから,粒子フィルタの信頼性設計への応用も期待される.


西村伸一教授と珠玖隆行助教が日本計算工学会第18回計算工学講演会ベストペーパーアワードを受賞しました!

《受賞題目》有限体積法によるDarcy流とNavier-Stokes式の同時解析

《賞状》




珠玖隆行助教が第48回地盤工学研究発表会優秀論文発表者賞を受賞しました。

《受賞題目》粒子法によるニューマチックケーソンの施工過程解析

《発表内容》ニューマチックケーソンの施工に伴う周辺地盤の変形を予測する方法の一つとして,有限要素法による逐次解析が挙げられる.このような解析手法は,ニューマチックケーソンの施工に伴う地盤の挙動評価に有効な方法となるが,ケーソン躯体は地盤に荷重を伝えるためのインターフェイスとしての役割しか果たしておらず,ケーソン沈設中の躯体の傾きや躯体に作用する土圧を評価することはできない.また,ケーソンが理想的な状態で沈設された場合の力の釣合いを考えているため,複雑な地盤条件・施工条件への適用は困難であると考えられる. 本研究では,ニューマチックケーソンの施工過程解析の高度化を目的とし,粒子法の一つであるMPS(Moving Particle Semi-implicit)法に着目し,ケーソン施工過程解析手法を新たに提案した.さらに,ケーソンの沈設を対象とした数値実験により,提案手法の有効性を示した。