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作物開花制御学 (Control of Flowering)

園芸作物の花成制御と養水分管理の最適化に関する研究

教員

Tanjuro GOTO教授: 後藤 丹十郎 Prof. Dr. GOTO Tanjuro
E-mail: tangoto@(@以下はokayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野:花卉園芸学
花卉類の根域制限下における生産性向上に関わる生理生態学的特性の解明
KITAMURA Yoshikuni准教授: 北村嘉邦 Assoc. Prof. Dr. KITAMURA Yoshikuni
E-mail: hyphy281@(@以下はokayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野:花卉園芸学
園芸植物の生理生態に基づいた園芸生産技術の開発

主な研究テーマ

 本研究室は園芸作物の生理学的反応の解明を基本に据えて,花卉(き)の開花調節技術,栽培技術,および収穫後の利用技術の確立に取り組んでいる.また,これからの農業は,「植物・人・環境のすべてに優しくなければならない」という理念に基づいて,バラ,ダリア,トルコギキョウ,デルフィニウム,ユリ,アジサイ,花壇苗などの成長,環境条件と養水分吸収の相互関係を解析し,科学的根拠に基づいた合理的で簡便な栽培環境制御と養水分管理技術の確立と普及を目指して,日々の研究を行っている.

固化培地を用いた花苗生産システムの開発

 特殊な繊維で培地を固めた固化培地というものがあります.セル苗生産において,この固化培地を用いると移植時の断根による植え傷みの解消や土崩れが起こらないため,定植時の作業効率が著しくアップします.花壇苗生産の現場では,ポリポットの廃棄処分が環境問題になりつつあります.そのため,ポリポットを必要としない固化培地を用いればポリポットの廃棄処分問題を解消できると考えられます.また, 固化培地はどんな形にも自由に成型できます(写真).この培地を用いれば壁やビルの屋上,屋根など様々な条件下で草花をそだてることが可能となります.この新しいアイデアで作られた固化培地の実用性について検討しています.

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高温環境下における安価で容易な苗生産方法の開発

 夏期高温時に育苗する花苗において,高温による枯死,生育障害,早期抽台や開花遅延が問題となっています.高温障害の回避方法として,クーラー育苗や山上げ栽培などがありますが,設備費,電気代,輸送費などの多大なコストがかかるため,一部の生産者にしか普及していません.私たちの研究室では,自然光による光合成と低温による花芽分化促進を組み合わせた間欠冷蔵処理を用いて,トルコギキョウ,プリムラ,デルフィニウム,エラチオールベゴニアなどの高温期の苗生産方法の開発を行なっています.

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切り花の長寿命化をもたらす脈の組織構造の解析とその園芸的利用

 切り花の中には,花瓶の中で半年近くも生き続けるものがあります.その一つに、アジサイの切り花があります.アジサイのガク(アジサイで花弁のように見えているのはガクです)の脈には,厚壁柔細胞が分化します.厚壁柔細胞には水分の輸送に関わる仮道管と似た特徴があるため,厚壁柔細胞の分化が切り花のアジサイの半年近くに及ぶ寿命を実現しているのではないかと考えています.本研究室では,花器官の脈での厚壁柔細胞分化と切り花の日持ちとの関係や厚壁柔細胞の分化メカニズムの解明に取り組み,アジサイ以外の様々な切り花を延命するための研究を進めています.

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花弁の展開や着色を制御する植物ホルモンの合成様相の解明と育種への展開

 花を彩る花弁の展開や着色にはジャスモン酸が関わっています.植物種によって,ジャスモン酸を合成する場所には違いがあり,モデル植物であるシロイヌナズナでは雄蕊の花糸で,トマトの場合は雌蕊で合成されるとされています.花卉園芸植物の中には,雄蕊や雌蕊を失った八重咲きの花がありますが,この八重咲きの花では花弁の展開や着色に必要なジャスモン酸を合成する場がなくなっていることになります.実際,ユリの八重咲き品種では,花被片が展開・着色しないものがあります.本研究室では,八重咲きの花を確実に美しく咲かせるためにどの花器官が必要なのか,ユリをモデルにして研究しています.ユリから得られた知見をもとに,様々な八重咲き花卉にも研究を広げています.花弁の展開や着色が起こる中での花器官の役割をふまえた,育種戦略の提案を目指しています.

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研究業績リスト

・Thao Thu Phan, Satoshi Sasaki, Keigo Fukushima, Yoshiyuki Tanaka, Ken-ichiro Yasuba, Yuichi Yoshida, and Tanjuro Goto,Intermittent Low Temperature Storage Duration and Cycle on the Growth and Flowering of Eustoma (Eustoma grandiflorum L.) Seedlings Raised in the Summer The Horticulture Journal, 89, 292-299(2020)
・S. Niramon J. Teerisara and Y. Kitamura. Combined Treatment of 8-Hydroxyquinoline and Glucose on Cut Hydrangea Flowers. Bull. Shinshu Univ. AFC, 18: 19-27. 2020.
・Chisato Isobe, Shinji Kajihara, Yoshiyuki Tanaka, Ken-ichiro Yasuba,Yuichi Yoshida, Katsuhiko Inamoto, Gen Ishioka, Motoaki Doi, Tanjuro Goto, Effects of Harvest Shoot Stage on Partitioning of Photosynthates Originating from Bent Shoots in the Modified Arching Technique of Cut Rose Production. The Horticulture Journal, 89,278-283(2020)
・Yoshikuni Kitamura, Takashi Fudano, Yoko Kawanishi. Relation Between Floral Initiations on Apical Buds of Basal Shoots After the Autumn and Cultivar Differences in Unseasonal Flowering of Hydrangea. The Horticulture Journal. 89: 488-495. 2020.
・中島 拓・後藤丹十郎,エラチオール・ベゴニア‘ネティア’の生育,開花および草姿に対する間欠冷蔵処理と短日処理効果の比較, 植物環境工学, 31.210-215 (2019)
・Y. Kitamura ほか8名. Sclerified Parenchyma Differentiation in Hydrangea Vein is Essential for Robust Decorative Sepals. Horticulture Journal, 87: 549-556. 2018.
・Y. Kitamura, S. Ueno, H. Aizawa and W. W. Teoh. Differences in Vase Lives of Cut Hydrangea Flowers Harvested at Different Developmental Stages. Horticulture Journal, 87: 274-280. 2018.
・Fukushima, K., S. Kajihara, S. Ishikura, N. Kastutani, T. Goto,Effect of Re-drying Seeds after Wet Treatment at 10℃ on the Germination and Growth of Eustoma grandiflorum (Raf.) Shinn. The Horticuluture Journal, 87, 413-420(2018)
・Y. Kitamura, T. Uemachi and Y. Kato. Non-decorative floral organs largely contribute to the transpiration and vase life of cut hydrangea flower with lacecap inflorescence. Horticulture Journal, 86: 263-268. 2017.
・Y. Kitamura, Y. Kato, T. Yasui, H. Aizawa and S. Ueno. Relation between increases in stomatal conductance of decorative sepals and the quality of antique-stage cut hydrangea flowers. Horticulture Journal, 86: 87-93. 2017.
・Yoshio Mori, Katsuhiko Sumitomo, Tamotsu Hisamatsu and Tanjuro Goto,Effects of Interrupted Lighting on the Spray Formation of Summer-to-autumn-flowering Small-flowered Spray-type Chrysanthemum Cultivars ‘Haruka’ and ‘Subaru’ , The Horticulture Journal,85,264-271 (2016).

卒業生・修了生進路

・大学院進学
・国家・地方公務員(行政職,研究職,農業改良普及員),高校教員
・食品メーカー,システムエンジニア,JA職員,農業自営,農業法人社員
 など

収穫祭ポスター