岡山大学 農学部 プレスリリース
岡山大学農学部の公式サイト。
https://www.okayama-u.ac.jp/
2024-03-13
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【プレスリリース】齢によって変わる「オス同士の闘争パターン」を世界で初めて発見~歳をとると長く戦い続けてしまう甲虫のナゾ~
https://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/release/release_id105.html
岡山大学大学院環境生命科学研究科修了の西谷俊輝氏、岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の宮竹貴久教授、松村健太郎研究助教は、エクセター大学バイオサイエンス学部(英国)のデイビッド・ホスケン教授らの研究グループとの長年の共同研究によって、甲虫の一種「オオツノコクヌストモドキ」のオスが羽化後の日齢によって、対戦相手のオスと戦う戦術を変えており、戦い方も若いオスと加齢したオスでは、行動様式が変化することを明らかにしました。日齢の経過によって、将来、繁殖に投資できる資源量が変化するため、若いオスと加齢したオスではメスをめぐる戦いに対する執着度が異なるためだと考えられます。この研究成果は2月24日に、国際行動生態学雑誌「Behavioral Ecology and Sociobiology」(Q1ジャーナル:Springer オンライン)に掲載されました。
詳細は下記URLをご覧ください。
2024-03-07
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【プレスリリース】サツマイモの大害虫イモゾウムシはイモ苗のある場所に固執する~環境にやさしい害虫根絶に役立つ世界初の発見!~
https://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/release/release_id104.html
沖縄県病害虫防除技術センターの浦崎貴美子班長と岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の松村健太郎研究助教と宮竹貴久教授らの研究グループは、サツマイモの大害虫で特殊害虫に指定されているイモゾウムシ(Euscepes postfasciatus )がサツマイモの植物苗のどの部分に滞在するか48 時間、調べたところ、昼間は雌雄とも節に滞在し、交尾が生じる夜間は、とくにメスが苗から移動し離れる一方で、マウント(交尾を含む)行動は苗の節で見られ、卵を地際部の苗に産み付ける習性があることを世界で初めて発見しました。
イモゾウムシはカリブ島しょ域原産ですが、1947 年に沖縄本島で見つかって以来、沖縄県と奄美群島の全域に侵入した侵略的外来生物で、南西諸島では不妊虫放飼法による根絶事業が実施されています。本発見は、本種の効率的な根絶事業に役立つ情報です。この研究成果は2月22日、Springer の日本応用動物昆虫学会誌「Applied Entomology and Zoology」にオンライン掲載されます。
詳細は下記URLをご覧ください。
2024-02-22
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岡山大学農学部学術報告 113巻を刊行
https://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/release/release_id103.html
岡山大学農学部学術報告は、研究や教育成果の社会への還元をはかるため毎年2月に刊行され、本学の学術成果リポジトリにて公開しています。
113巻は下記URLからご覧ください。
2024-02-01
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【プレスリリース】ブドウを根頭がんしゅ病から守る!拮抗細菌が根頭がんしゅ病を抑制する仕組みを解明~病原細菌に感染する頭部を欠いたファージ尾部様粒子rhizoviticinを発見~
https://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/release/release_id102.html
岡山大学大学院環境生命科学研究科の石井智也大学院生(当時)、齋藤晶大学院生(当時)、Niarsi Merry Hemelda大学院生(博士後期課程3年)、農学部の土田菜月学部生(当時)、大学院環境生命自然科学研究科の包継源大学院生(博士後期課程1年)、学術研究院環境生命自然科学学域(農)の渡邉恵非常勤研究員(当時)、能年義輝教授と農研機構西日本農業研究センターの川口章上級研究員、理化学研究所環境資源科学研究センターの佐藤繭子技師、豊岡公徳上級技師、石濱伸明研究員、白須賢副センター長、九州大学大学院医学研究院の林哲也教授らの共同研究グループは、ブドウの重要病害である根頭がんしゅ病を抑制できる拮抗細菌が、頭部を欠いたファージ尾部様粒子によって根頭がんしゅ病の病原細菌を溶菌することで防除能を発揮する仕組みを明らかにしました。本成果は日本時間1月18日午前9時、国際微生物生態学会の科学雑誌「The ISME Journal」にオンライン掲載されます。
根頭がんしゅ病は土壌に生息する植物病原細菌によって引き起こされ、化学農薬での防除が難しい病害です。このような病害には拮抗微生物(生物農薬)が有効です。岡山県農林水産総合センターではブドウ根頭がんしゅ病を極めて強力に抑制する拮抗細菌を特定していましたが、今回その作用機序が明らかになったことで、拮抗細菌の生物農薬としての利用や、さらに有望な菌株の単離に道が拓け、世界のブドウやワイン生産の安定化への貢献が期待されます。
詳細は下記リンク先をご覧ください。
2024-01-18
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【プレスリリース】湾奥の地下に潜まる彼(か)は誰(たれ)ぞ—絶滅危惧貝類の新属新種、カハタレカワザンショウ—
https://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/release/release_id100.html
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の福田宏准教授は、貝類の新属新種カハタレカワザンショウ Xenassiminea nana Fukuda, 2023を記載しました。本種は日本本土温帯域の固有種で、砂泥干潟に深く埋もれた転石下に特異的に見られ、昨今の内湾環境の悪化によって減少傾向にあるため、環境省レッドリストで絶滅危惧II類(VU)とされています。
この研究成果は11月23日、日豪共同刊行の軟体動物学雑誌「Molluscan Research」にオンラインで掲載されました。
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2023-12-06
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難波和彦准教授が農業食料工学会「論文賞」を受賞
https://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/release/release_id99.html
本学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の難波和彦准教授が、令和5年9月4日に農業食料工学会「論文賞」を受賞しました。
論文タイトルは、「促成栽培イチゴの生育診断に資する生体計測手法 ―生長点の露出に必要な気流条件の検討―(農業食料工学会誌84巻5号)」で、本学卒業生の坪田将吾氏(農研機構 農業機械研究部門)らとの共著です。
イチゴ生産現場への生体情報と環境情報を対応させた生長解析導入のために、室内飛行技術の開発が進むドローンのダウンウォッシュによって生長点を露出させることを検討しました。そのための気流(飛行)条件を明らかにすることで、通常は生長した葉に隠れている若葉を露出させて観測する方法を提案しました。
これにより、大規模生産現場での省力的かつ的確な情報活用だけでなく、そこで得られた情報の中小農場への利活用も期待されます。
2023-10-24
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【プレスリリース】いつ、死んだふりから目覚めるべきか~覚醒を早める集合フェロモンの存在を世界に先駆けて発見!~
https://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/release/release_id98.html
岡山大学大学院環境生命自然科学研究科の石川望都也大学院生(博士前期課程1年)と岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の松村健太郎研究助教、宮竹貴久教授の研究グループは、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)という貯穀害虫を用いて死んだふり行動から覚醒する刺激について調べました。その結果、死んだふりをしている成虫を、同種の集合フェロモンの匂いにさらすことで死んだふりから覚醒するまでの時間が短くなることを新たに発見しました。
同研究グループは、2019年にも死んだふりをしている本種の成虫を置いた地面(シャーレ)を振動させると、ある強さの振動で死んだふりを中断して、歩き出すことを世界に先駆けて発見しており(Miyatake et al. 2019)、継続的に「死んだふり」行動を研究しています。
この研究成果は9月14日午前0時(日本時間)、Springerの日本動物行動学会誌「Journal of Ethology」にオンライン掲載されます。
詳細は下記リンク先をご覧ください。
2023-09-14
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【プレスリリース】“AIの目”によるイネ収穫量の簡単・迅速推定
https://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/release/release_id97.html
イネは、わが国では言うまでもなく、世界的にみても人口の約半数が主食としている非常に重要な作物です。私達は国際的な研究ネットワークを通じて国内外から大量のイネ画像と収穫量のデータを収集し、AIに学習させました。これにより、野外で生育するイネの収穫期の画像を撮影するだけで、高い精度で面積あたり収穫量(収量)を推定する技術を開発しました。本技術は幅広い品種や環境条件において適用可能なだけでなく、市販のデジタルカメラやスマートフォンのみで、誰でも簡単にイネ収量の推定を可能とした点に最大の特徴があり、いわばイネの収穫量を見極める“AIの目”を実現したと言えます。本研究成果は、国際誌Plant Phenomicsに現地時間6月29日付けでオンライン公開され、7月28日付けで出版予定です。本技術は、これまで時間と労力をかける必要のあったイネの収量調査を大幅に省力化・迅速化することで、育種現場における多収品種の選抜に貢献すると考えられます。加えて農家圃場、特に開発途上地域など、これまで調査困難であった地域のイネ生産量の把握、ひいては最適な栽培法選択や政策立案など、多方面にわたって活用されることが期待されます。
詳細は下記リンク先をご覧ください
2023-07-21
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【プレスリリース】栽培柿の高精度全ゲノム解読 ~果実や性別の進化を解明
https://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/release/release_id96.html
生物が生きる上で最低限必要な遺伝子情報のセットを「ゲノム」と呼びます。ヒトを含む多くの生物は2セットのゲノムを持つ「二倍体」ですが、植物、特に栽培される作物の中には、複数セットのゲノムを持つ「倍数体」が多く存在します。私たちが普段食べている栽培柿も倍数体であり、6セットのゲノムを持つ「六倍体」です。栽培柿には、「さるかに合戦」で有名な甘柿・渋柿のほか、多様な果実の形、一本の樹の中で揺らぐ性別(雄花・雌花・両性花)、などユニークな形質があります。これらの形質は、近縁野生種には見られず、六倍体の栽培柿が倍数性進化や栽培化の過程で手に入れてきたものであると考えられています。
このたび、岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)赤木剛士 教授と堀内綾乃大学院生(修士課程2年)は、栽培柿の主要品種である「太秋」の全ゲノム情報を高精度に解読し、そのDNA配列情報から、近縁種との分岐や栽培柿が六倍体になった年代や「壊れた性染色体」を成立させた進化過程を明らかにしました。さらに、日本国内に存在する約170の栽培柿品種群の全ゲノムデータを用いることで、日本の栽培柿が特定の栽培化ルーツを持つわけではなく品種群ごとに独立してバラバラに分化してきた過程、そして甘柿・渋柿の違い・多様な果実の形など、栽培柿が進化の中で独自に手に入れたと考えられる有用形質に重要な遺伝子群の存在領域を特定しました。本研究により、本来解析が難しいと言われていた六倍体の栽培柿の遺伝解析基盤を作り、その独自の進化や有用形質に関する知見を得ることができました。本成果のうち全ゲノム解読および性別の進化に関する内容は進化学の国際論文誌「Molecular Biology and Evolution」に、栽培柿の品種分化や果実形質の進化に関する内容はゲノム科学の国際論文誌「DNA Research」に掲載されました。本研究は、かずさDNA研究所、農研機構果樹茶業研究部門との共同研究として行われました。
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2023-07-12
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【プレスリリース】液体をつかむ?アリのユニークな液体の運搬は、餌の粘度が鍵!
https://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/release/release_id95.html
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の藤岡春菜助教と、フリブール大学(スイス)のManon Marchand 博士、Adria LeBoeuf教授は、トゲオオハリアリの採餌行動が液状餌の粘度によって変化することを発見しました。さらに、粘度に応じて行動を変化させることで、トゲオオハリアリは、効率的に多くの餌を持ち帰っていることが解明されました。この研究結果は、6月14日、英国王立協会の国際雑誌「Proceedings of the Royal Society B」の Research Article として掲載されます。
詳細は下記URLをご覧ください。
2023-06-14