生体超分子構造研究室(沈 建仁)

 

Macromolecule Structure Laboratory

 

(一般教育棟B407, 電話086-251-8502

   Email: shen@cc.okayama-u.ac.jp)            

                     20074

私たちは、タンパク質を中心とした生体超分子、特に膜タンパク質やその複合体の立体構造を解明することを目標に研究を進めています。膜タンパク質およびその複合体は、生命活動でしばしば重要な役割を担っています。たとえば、生体エネルギー変換にかかわっている呼吸反応や植物の光合成反応を担っているタンパク質複合体、情報伝達にかかわっている多くのレセプタータンパク質、イオンや生体分子が細胞膜や各種生体膜を通るための膜チャンネルやポンプ等はすべて膜タンパク質もしくはその複合体によってできています。にもかかわらず、膜タンパク質の扱いの困難さから、それに対する立体構造研究は十分進んでおらず、したがって、膜タンパク質の立体構造研究はポストゲノム研究における大きな課題の一つとなっています。

私たちは、主に植物の行う光合成反応において、光エネルギ−を吸収し電子伝達を行い、水を分解し酸素を放出する膜タンパク質複合体、光化学系II複合体の立体構造について研究しています。光化学系II複合体は16種の膜貫通タンパク質と3種の膜表在性タンパク質によって構成され、総分子量350 kDaの超分子複合体です。私たちは日本の温泉由来の好熱性ラン色細菌、Thermosynechococcus vulcanusから光化学系II複合体を単離精製し、その三次元結晶を作成しました(図1)。この結晶を用い、SPring-8の放射光X線を利用して光化学系II複合体の構造を3.7 Åにて解明しました(図2)。

現在、光化学系II複合体の構造をより高分解能レベルで解析するため、より良質な結晶の作成を目指しています。また、各種光化学系IIサブユニットの欠失変異株から光化学系II複合体を単離精製し、その結晶化を行っています。これにより、各光化学系II構成サブユニットの機能を解明していきます。これらの研究の一部は大阪市立大学、東京大学、東京理科大学等の外部研究者と共同で実施しています。

膜タンパク質とならんで、難溶性タンパク質、あるいは自己集合能を持つタンパク質の性質・機能研究も重要な課題の一つです。これに関連する研究の一環として、海洋バイオテクノロジー研究所と共同でフジツボ由来接着タンパク質の構造解析を目指して、その結晶化を行っています。

  当研究室で使用し、修得できる主な実験技術は、各種遠心機とカラムクロマトグラフィーを用いたタンパク質の分離・精製法、タンパク質の結晶化法、結晶のX線回折法、酸素電極や分光光度計による光合成複合体の各種活性測定法、各種電気泳動によるタンパク質の純度検定法、などである。

 

現在(2012年5月)、博士研究員1−2名、研究補助員1−2名 募集中です。

詳細はE-mailなどでご連絡ください。

 

図1 光化学系II複合体の結晶

図2 光化学系II複合体二量体の結晶構造

メンバー

これまでの発表論文