プロジェクト(代表)

数値気候モデルにおける雲・降水スキームの高度化

時空間解像度および計算コストの制約の都合上、現状の国内外ほとんどの気候モデルにおいて降水は診断的に取り扱われています。しかし、降水の簡素な取り扱いに起因して、雲場と放射場の間には根強い誤差補償問題が存在します。本プロジェクトでは、降水を陽に予報する新しい雲・降水スキームを開発し、誤差補償バイアスの改善を目指した物理ベースな気候モデルの高度化を推進しています。

海塩によるエアロゾル・雲相互作用の抑制効果の解明

海塩粒子は高い吸湿特性を持ち、雲凝結核として効率的にはたらきます。気候モデルでは、エアロゾルの増加に対し降水生成効率を低下させるパラメタ化が適用されていますが、現実大気においては巨大海塩は降水を強める働きを持つため、それを考慮する必要があります。本プロジェクトでは、海塩と雲・降水の相互作用を適切に考慮し、気候への影響を定量的に理解することを目標としています。

新しい雲・降水プロセス診断ツールの開発

イギリス気象局(UK Met Office)で開発されている衛星観測シミュレータCOSPは、気候モデルと衛星観測の整合的な比較を目的として広く利用されています。本プロジェクトでは、モデルの雲・降水プロセスを素過程レベルで診断する独自の評価手法をCOSPに導入し、世界中のモデリングセンターにコードを公開しています。UKMO, NASA, コロラド州立大学などとの国際共同研究です。


プロジェクト(分担・協力)

GEWEX/PROES CFODDモデル間相互比較

NASA/JPLのGraeme Stephens氏が主導するGEWEXプロジェクト傘下で活動している、モデルの素過程の理解深化を図るPROESという研究ブランチの一環で、モデル間相互比較を実施しています。
道端は、MIROCに新たに導入した予報型降水スキームを用いて計算したシミュレーション結果を提出し、研究協力しています。

Warm Rain Fractionモデル間相互比較

ドイツ・ライプツィヒ大学のJohannes Mülmenstädt氏が主導する、水雲の発生頻度と微物理スキームおよび有効放射強制力の関係性を調査し、エアロゾル・雲相互作用の不確実性の低減を目標としたモデル間相互比較プロジェクトです。
道端は、MIROCに新たに導入した予報型降水スキームを用いて計算したシミュレーション結果を提出し、研究協力しています。