平成4年に通産省が行った「情報化のための人材像」と題された中間報告に基づく、 情報教育の評価試験の一つ.国家試験である。
この中間報告では、ハードウェアの性能向上やアプリケーションの機能向上に加え、 ネットワークの整備により、情報システムの利用環境が急速に高度化した状況を受け、 これらに対応できる能力を持った人材を育成するため、次のような目標を掲げている。
これに基づき専門化した人材像区分の一つがシステムアドミニストレータ、 略してシスアド(SAD)である。 シスアドはエンドユーザコンピューティング(EUC) のリーダとなることが期待されている。
シスアドは、エンドユーザ部門の情報化リーダーであり、 エンドユーザーの技術的指導、 提供側とのインターフェースなどの役割を担うとされている。 さらにシスアドは初級と上級に分類され、 初級がエンドユーザのリーダであるのに対して、 上級は基幹システムの開発に携われる人材と位置付けられている。
初級シスアド試験は次のような受験資格が設定されている。
H6年度に初めて実施され、毎年の受験者数は全国で5万人前後、 合格率は30%程度である。
初級シスアド試験の出題範囲は次のとおり。
H8年試験は主にEUCから出題された(約6割)。 合格ラインは午前が80%、午後が70%程度と見られている。
午前2.5時間で80問の5枝選択問題、 午後2.5時間で10問の応用問題を某高校で受験した。
午前の問題はEUCに関する知識を問われるだけあって、 コンピュータウイルス、FTPと文字コード、 ディスプレィカードの搭載RAM容量と解像度および表示色数の関係、 ソフトウェアのバージョンアップ、 室内照明とディスプレィの位置との関係など広範囲から出題されていた。 これらは普段からパソコン雑誌の記事や広告等に問題意識を持ちながら眼を通しておけばクリアできるだろう。 午後の問題は表計算ソフトでの関数式や関係型データベースのクエリーの作成、 メニューシステムの改善、 さらには業務全般の電算化における問題点の指摘などの突っ込んだ問題が出題されており、 回答も2転3転、制限時間いっぱいまで苦しんでしまった。
対策本がぼつぼつ出ているが試験が始まってからまだ日が浅いので、 これらの書籍の内容の洗練度はまだまだの様だ。 ここ1,2年は辞書的なものと過去問そして実務で対応したほうが良いだろう。 「2種より簡単そう」とか「初級だろ」などとなめてかかると痛い目を見るだろうから注意。
ソフトウェア業界でのこの種の試験への評価であるが、 「無いよりはマシ」と言った程度のもののようだ(伝聞)。 就職面接でもこの種の資格の有無を問われるのは最終面接時のようである(伝聞2)。 では受験する価値がゼロかと言えばそうではない。 独学は偏りがちなのでバランスのとれた知識を身に付けるためのガイドとして利用するには良い試験なのではないだろうか。
参考: