メタロβラクタマーゼ産生菌 (Metallo-β-Lactamase)

 

メタロ-β-ラクタマーゼとは、ペニシリン, セフェム, カルバペネム等のβ-ラクタム環をもつほとんどの抗生物質を加水分解する酵素で、現在使用されているβ-ラクタマーゼ阻害剤も全く効果を示さない最も危険なβ-ラクタマーゼと考えられています。現在わかっているメタロβラクタマーゼを産生する菌は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)や、セラチア菌(Serratia marcescens)などのグラム陰性桿菌で、尿からの分離が最も多く報告されています。
耐性遺伝子は、伝達性のプラスミド上に存在するものと、Stenotrophomonas maltophiliaなど染色体上に遺伝子が存在するものがあるが、臨床的に問題となるのは、プラスミド上に存在するもので、IMP-1やVIM-2といった耐性遺伝子の検出が報告されています。

検査法

@スクリーニング検査(ディスク拡散法)

薬剤感受性試験において、ceftazidim(CAZ)のMIC値が>16μg/mlを示すグラム陰性桿菌を対象に実施します。CAZ(30μg力価)とSMA(メタロβラクタマーゼ阻害剤:メルカプト酢酸ナトリウム3mg)の薬剤含有ディスクを用いて、CAZ単独の場合と、CAZ+SMAの場合とでCAZの阻止円の拡大を測定します。CAZ単独の場合と比較して、CAZ+SMAの方が5mm以上の拡大があるものを陽性と判定します。(写真1:P.aeruginosa)
 

A確認試験(PCR法による耐性遺伝子の検出)

スクリーニング検査において陽性と判定された株について実施し、特異プライマーを用いて耐性遺伝子を同定します。(写真2:IMP-1型MBL)          

★スクリーニング陽性例(写真1)    PCR法による確認試験(写真2)

 

M:100bpマーカー

@IMP-1型MBL P.aeruginosa,

AP.aeruginosa(陰性コントロール)

B〜EIMP-1型MBL P.aeruginosa

 

メタロβラクタマーゼ産生菌の菌種別MIC分布(2003)

問い合わせ:微生物検査室(内線7673)

 

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