バンコマイシン耐性腸球菌(VRE: Vancomycin
Resistant Enterococci)
VREは、臨床的な治療により誘導されたのでなく,成長促進を目的として家畜飼料に高濃度に添加したグリコペプタイド系抗生剤のAVOPによって誘導されたと考えられている。日本でも鶏からVCM耐性のE.
faeciumが分離され,食肉を介するヒトへの保菌も危惧されている。また、臓器移植,血液疾患,心臓外科術後の患者などに難治性感染症を惹起することがあるため、欧米では大きな問題となっている。日本では、幸い分離が稀であるが今後の動向が懸念されている。VREの耐性遺伝子としてVanA型、VanB型、VanC型、VanD型の4種の遺伝子が報告が報告されているが,臨床上問題となるのは、VanA型およびVanB型遺伝子を保有するVREであり、そのほとんどがE.
faeciumまたはE. faecalisである。なかでもE. faeciumは、VCMを含め多剤耐性で治療が困難なため、臨床的に最も重要な耐性菌として位置付けられている。VanA保有株は、バンコマイシンとテイコプラニンの両剤に耐性を示す。VanB保有株は、バンコマイシンには耐性を示すがテイコプラニンには感受性を示す。VanC保有株は、バンコマイシンに中等度耐性を示すがテイコプラニンには感受性を示す。VanCは、種固有の遺伝子であり伝達性もない。しかし日本では、VanA保有株でありながらバンコマイシンには耐性を示すがテイコプラニンには感受性を示す株が検出されるため確定には、耐性遺伝子の検出が必要である。