不規則同種抗体スクリーニング, Clinical significance of screening test for irregular antibodies


臨床的意義
 ABO血液型の抗A、抗B以外の抗体を総称して不規則抗体という。不規則抗体は、輸血や妊娠によって産生される免疫抗体と産生原因が不明な自然抗体に大別され、主に前者の免疫抗体が輸血副作用や新生児溶血性疾患(hemolytic disease of the newborn ; HDN)の原因抗体となるので臨床的意義をもつ。中でも、高頻度抗原に対する抗体は、輸血時の適合血液の選択に困難をきたす点で他の抗体に比べてより臨床的意義が高い。免疫抗体は、ヒトの体温に近い37℃で最もよく反応することから、適合血液の選択の必要性を判断するうえで、その抗体が37℃で活性を示すか否かが重要な決め手となる。つまり、37℃で活性を示す抗体であれば適合血液を選択し、活性を示さなければ適合血液を選択せずに輸血が行われる。自然抗体は室温以下の温度でよく反応し、あまり臨床的意義をもたない。輸血予定患者の不規則抗体スクリーニングを事前に行うことは、以後の輸血用血液の確保を容易にするだけでなく、抗体を保有しないヒトであれば、ABO血液型の確認のみで交差適合試験を行うことなく輸血をしたとしても、交差適合試験を行って輸血をした場合と同程度の安全な輸血が行える。妊娠について抗体スクリーニングを行う場合は、抗体の有無を出産前に知ることができ、抗体が存在した場合は特異性を調べ、必要に応じてHDNの回避のための対策や、交換輸血のための準備が事前に行える。

採取容器:試験管(薄紫)

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