Rh因子血液型, 


臨床的意義
 Rh血液型は、ABO血液型についで輸血医学上重要な血液型として知られている。Rh血液型は、1940年にLandsteinerとWienerによってD抗原が発見されて以来、多くの抗原が発見されており、主要な抗原であるD、C、E、c、eを含め45種類の抗原が報告され、複雑な血液型システムを構成している。Rh血液型は、主にD抗原と2種の対立抗原C/c、E/eの組み合わせで表現され、DCe、DcEのような3種の抗原のセット(ハプロタイプ)で遺伝する。Dの対立抗原dは存在しないが、便宜上D陰性の型として表記されることが多い。Rh血液型の表記法は、Fisher-Race説(CDE)、Wiener説(Rh-hr)の2つがあるが、最近では各抗原を番号で表現する方法が提唱され、より整理された分類がなされている。1990年にRhポリペプチドのcDNAがクローニングされた後、分子生物学的手法によりRhの研究は急速に展開し、D抗原はRhDポリペプチド、C/c、E/e抗原はRhCEポリペプチド上に表現され、D陰性ではRHD遺伝子に欠損がみられることが明らかになった。さらに各Rh抗原の遺伝子解析も進展し、複雑なRh血液型の全貌が明らかになりつつある。
@ D抗原
Rh式血液型の中でD抗原が最も重要な抗原であり、一般的にRh(+)と表記される場合はD抗原陽性を示す。D抗原は免疫原性が高く、D抗原陰性のヒトにD抗原陽性の血液を大量に輸血した場合、8割が抗D抗体を産生するといわれている。日本人のD陰性の割合は欧米人に比べて少なく、約0.5%である。
A C/c、E/e抗原
C/c、E/e抗原は、D抗原に比べ免疫原性が低いため、通常の輸血では検査にされていない。そのため、不適合輸血や妊娠により不規則抗体を保有する例が比較的多く認められる。モノクローナル抗体を用いた解析により、E抗原にもpartial Dのように、一部のモノクローナル抗体と反応しないバリアントが存在することが報告されている。

採取容器:試験管(薄紫)

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