HCV関連検査

HCV抗体
 
1989年アメリカカイロン社よりHCV遺伝子断片のクロ-ニングが行われ、非構造領域NS4の一部を酵母に発現させたリコンビナント抗原(c100-3)を用いた抗体系がキット化された。以来、種々のHCV抗体検出系が開発され、現在ではHCVのコア遺伝子領域、非構造領域のNS3、NS4、NS5領域のクロ-ニングが行われリコンビナント抗原や合成ペプチドが作製され、C型肝炎のスクリ-ニングや診断、病態、予後の把握、治療効果の判定などが可能となってきている。


イムチェックF-HCVC50Ab
 
コア領域、NS3領域、NS4領域のエピド-プを組み込み、大腸菌で発現させた単一抗原を使用した第2世代キットである(当院使用)。 抗原をチュ-ブに固相化し、蛍光気質を用いたFEIA法である。陰性、陽性コントロ-ルの吸光度から計算して求めたカットオフ値により判定を行う。

HCVグル-ピング(serotype)
 
日本国内に分布しているおもなHCV遺伝子型をNS4領域のアミノ酸のシ-クエンスから大きく2つのグル-プ、Group1とGroup2に分ける。NS4領域はアミノ酸配列の相同性が低く、親水性のパタ-ンも異なることから、この部分のタンパクを大腸菌で発現し、精製して、c14-1抗原(Group1特異抗原)とc14-2(Group2特異抗原)が得られた。これら特異抗原を用いて、抗体をFEIA法で測定する。陰性、陽性コントロ-ルの吸光度から計算して求めたカットオフ値により判定を行う。
genotype1a、1bはGroup1にgenotype2a、2bはGroup2に対応している。

1)どちらかのGroupに陽性になったときそのGroupに分類
2)両方陽性になった場合希釈して抗体価が2倍以上の差がでたらそのGroupに分類
3)差がでなかったら判定保留
4)どちらも陰性の場合は判定不能



ウイルスの検出

 
HCVRNAを直接測定することにより、ウイルスの存在の有無を確認できる。抗体産生前の急性肝炎、既往の感染か持続感染かの鑑別、IFNの治療効果の判定などにおいて有用である。

HCVコア蛋白
 
前処理によって抽出した血清中のコア蛋白をペルオキシダ−ゼ標識抗HCVコア蛋白質モノクロナ−ル抗体を用いて蛍光を測定するFEIA法である。検質限界は8pg/mlである。

アンプリコア定性法、定量法
 
逆転写反応により標的RNAからこのcDNAを合成後、PCR法により増幅し、HCVRNAに特異的なDNAプロ-ブを用いてこの増幅DNAを補足するものである。dTTPのかわりにdUTPを用いたDNAの増幅とウラシル-N-グリコシラ-ゼ(UNG)による増幅DNAの分解によりキャリ-オ-バ-コンタミネ-ションを抑制できる。また内部コントロ−ルを用いて検体のHCVRNAと同時に逆転写、増幅し検出することでPCR反応阻害因子の影響を確認することができる。定量法では検体中のHCVRNAとこれに添加した既知濃度の内部コントロ−ルのそれぞれから得られた増幅DNA量比からHCVRNA量を求める。従来、genotype2a、2bにおいて低値であるという報告があったが、定量法ではジメチルホキシド(DMSO)をPCR反応液に添加して遺伝子型による反応性の差を改善したキットである。
  
定量法
最低検出感度  500IU/mL    
測定範囲    500〜850,000IU/mL

定性法
最低検出感度  約50IU/mL

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