尿中微量アルブミン, Urine albumin


臨床的意義
尿蛋白が定性で陰性(総蛋白として10〜30mg/dL以下)の時期に、尿中に排泄する微量のアルブミンの増加から初期の腎障害を診断する。 糖尿病性腎症の初期には、糸球体内圧が上昇し、糸球体が障害されアルブミンの尿中への排泄が増加する。 この初期の段階で糖尿病のコントロールを十分行うと、尿中への微量アルブミンの排泄が減少し、顕性の糖尿腎症の発症を抑制できると言われている。 高血圧でも微量アルブミンの尿中への排泄が増加し、高血圧のコントロールにより減少することが知られている。 その他、全身性エリテマトーデスでも尿蛋白陰性で、尿中微量アルブミンが増加している場合、ループス腎炎の存在が示唆される。

測定方法:免疫比濁法 

測定機器:自動分析装置 BioMajestyTMJCA-BM6050(日本電子)(平成26年3月24日より)
     日本電子BM1650(平成18年7月18日より)
     日立7070(平成18年7月14日まで)

測定試薬:N-アッセイ TIA Micro Alb ニットーボー(ニットーボーメディカル株式会社)(令和3年9月15日から)
     デンカ生研(令和3年9月14日まで)

相関
平成26年3月24日
X=BM1650、Y=BM6050
Y=1.0195X+0.179 r=0.9989  n=83

平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=0.82X+2.66 r=0.994  n=192

基準範囲: 2.60〜16.60 mg/day

米国糖尿病学会(ADA)の分類.1998

category 24-h collection timed collection spot collection
normal <30mg/24h <20μg/min <30μg/mg creatinine
microalbuminuria 30〜300mg/24h 20〜200μg/min 30〜300μg/mg creatinine
clinical albuminuria >300mg/24h >200μg/min >300μg/mg creatinine

微量アルブミン尿の診断とその手順
尿中アルブミンの日内変動、日差変動は大きく、こと運動によりアルブミン排泄率は増加する。 したがって、1回のみの検査で判断をすることは危険である。微量アルブミン尿の診断には、蓄尿が必要なため日常検査には向かないので、より簡便なスクリーニング法が必要となる。 試験紙法で尿蛋白が陰性の患者に限って随時尿でアルブミンとクレアチニンを同時に測定し約30 mg/g・クレアチニン以上であれば異常の可能性が高いと判断し蓄尿を行いアルブミン排泄率を求め微量アルブミン尿の確認をすることがよい。 尿中微量アルブミンは、慢性糸球体腎炎の潜伏期や良性腎硬化症などの非糖尿病性腎疾患や尿路感染症、高血圧、うっ血性心不全などでも出現するので除外診断が必要である。

採取容器:白)尿用試験管

先頭に戻る    前ページに戻る