尿中Na, K, Cl
臨床的意義
低Na血症はNa欠乏を意味するのではなく、相対的水過剰と考える。低Na血症は腎での尿希釈の障害のため自由水の排泄が抑制されることによる。
よって、水利尿に不都合な抗利尿ホルモン分泌過剰状態が原因の多くを占めることになる。
グルココルチコイドは集合管の水透過性を正常に抑制するのに役立つと考えられており、この欠乏症では水利尿が制限され低Na血症を引き起こす。
一方、高Na血症は、Na過剰を意味するのではなく、相対的水欠乏と考える。Naに比して水の喪失がより著明に生じた場合に生じる。
高Na血症は高浸透圧血症を意味し、存続する場合には飲水が不可能な状態、すなわち意識障害、口渇中枢の障害などが存在すると考えてよい。
カリウム代謝の恒常性はほとんど尿中K排泄の調節によって規定されている。
この尿中へのK排泄は皮質部集合管におけるK分泌によって決定され、@K摂取量、Aアルドステロン、B集合管の尿流速度、Na到達量、C非再吸収性陰イオンの存在などの因子に影響される。
低K血症の原因は@摂取不足、A腎性喪失、B腎外喪失を考えればよく、高K血症の原因としては@腎機能低下時での摂取過多、A腎からの排泄低下に大きく分類される。
血清中のClは陽イオンであるNaに対する主たる陰イオンと理解できる。よってNaの代謝異常では血清Cl濃度もその変化に見合った変動を示す。
Naとかけ離れた変動を示す場合は酸塩基平衡状態を伴う場合である。代謝性アシドーシス(腎不全、糖尿病、下痢)や呼吸性アルカローシス(過呼吸)では高Cl血症となり、
代謝性アルカローシス(嘔吐、副腎皮質機能亢進症)や呼吸性アシドーシス(換気不全、肺疾患)などでは低Cl血症となる。
測定機器:日本電子BM6050 (平成26年3月24日より)
日本電子BM1650(平成18年7月18日より平成26年3月20日まで)
日立7070(平成18年7月14日まで)
測定方法:イオン選択電極法
測定試薬:日本電子(平成18年7月18日より)
第一化学(平成18年7月14日まで)
相関
Na
平成26年3月24日
X=BM1650、Y=BM6050
Y=1.03X-3.17 r=0.999 n=110
平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=1.00X-0.95 r=0.999 n=200
K
平成26年3月24日
X=BM1650、Y=BM6050
Y=0.992X+0.29 r=0.999 n=110
平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=0.97X-0.09 r=0.999 n=200
Cl
平成26年3月24日
X=BM1650、Y=BM6050
Y=1.01X-1.23 r=0.999 n=110
平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=1.02X+9.56 r=0.978 n=200
基準範囲
Na:130〜260 mmol/L (4〜8 g/day)
K:25〜100 mmol/L (1.5〜2.5 g/day)
Cl:170〜250 mmol/L (6〜12 g/day)
採取容器:白)尿用試験管