尿蛋白, UP (Urine protein)


臨床的意義
正常尿には総蛋白として1日40〜80mgが排泄されており、その上限は1日150mgであるとされている。 その内訳は、アルブミン 40%、IgG 5〜10%、免疫グロブリンのlight chain 5%、IgA 3%であり、IgDやIgMは検出されない。 また尿蛋白の約60%は、血漿由来であり、残りは腎実質および尿路由来であると考えられている。 一般的に、尿蛋白は1日尿蛋白排泄量が150mgを超えるものと定義されている。 尿蛋白の主なるものは糸球体毛細管壁の蛋白透過性の亢進であり、一部は尿細管における蛋白再吸収や処理の低下に起因する。

測定方法:ピロガロールレッド法(平成18年7月18日より)
     ブロモピロガロールレッド発色法(平成17年3月28日から平成18年7月14日まで)
     ピロガロールレッド法(平成17年3月25日まで)

測定機器:自動分析装置 BioMajestyTMJCA-BM6050(日本電子)(平成26年3月24日より)
     日本電子BM1650(平成18年7月18日より)
     オーションマスター(平成17年3月28日から平成18年7月14日まで)
     コバスミラプラス(平成17年3月25日まで)

測定試薬:富士フィルム和光純薬株式会社(平成18年7月18日より)
     アークレイ(平成17年3月28日から平成18年7月14日まで)
     和光純薬(平成17年3月25日まで)

参考基準範囲:30.0mg/dL未満

相関
平成26年3月24日
X=BM1650、Y=BM6050
Y=1.0133X-1.58 r=0.9999  n=110
平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=0.94X-2.45 r=0.999  n=200

平成17年3月28日
y=0.95x+5.93 r=0.993 、n=149

異常値を示す疾患
1.糸球体性蛋白尿

1)機能性蛋白尿
発熱性疾患、激しい運動、ストレス、うっ血性心不全などに出る一過性の蛋白尿で1日蛋白排泄量は1gを超えるものは稀である。

2)起立性蛋白尿
通常の生活では蛋白尿を認めるが、安静臥床により蛋白尿が消失する状態で、1日蛋白排泄量は2gを超えるものは稀である。

3)非ネフローゼ蛋白尿
1日蛋白排泄量が150mg〜3.5gまでの蛋白尿であり、この範囲の蛋白尿には糸球体以外に尿細管性や生産過剰性蛋白尿が入り、その鑑別には尿蛋白構成成分の分析が重要となる。

4)ネフローゼ蛋白尿
1日蛋白排泄量が3.5g以上の蛋白尿であり、この範囲の蛋白尿は通常、糸球体起源であり蛋白尿の主体はアルブミンである。蛋白は、糸球体毛細管壁のsize barrierとcharge barrierの障害により出現する。

2.尿細管性蛋白尿
1日蛋白排泄量が2gを超えるものは少なく、その中でアルブミンの占める割合は少ない。β2マイクログロブリン、α1ミクログロブリン、レチノール結合蛋白、リゾチームなどの低分子蛋白や尿細管のlysosome由来の酵素であるN-acetyl-β-D-glucosaminidase(NAG)、尿細管のbrush border由来の酵素であるγ-GTPなどの尿中酵素の排泄上昇が尿細管質障害の診断に役立っている。

3.生産過剰性蛋白尿
多発性骨髄腫などでみられるBence Jones蛋白、単球性白血病でのリゾチーム、急性膵炎でのアミラーゼ、筋肉損傷でのミオグロビンや溶血の際のヘモグロビンなど

採取容器:白)尿用試験管

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