抗セントロメア抗体, ACA (anti centromere antibody)
臨床的意義
セントロメア(centromere)とは、2本の相同染色体が接合する狭窄部分のことであり、染色体分配の際には紡錘糸が付着する重要な領域である。抗セントロメア抗体(anticentromere antibody ;
ACA)は、培養細胞(HEp-2細胞など)を用いた間接蛍光抗体法により、特徴的な散在斑紋型(discrete speckled)として発見され、染色体のセントロメア領域と反応しCREST症候群に特異的な抗体であることが見いだされた。この領域には、特有の蛋白質であるセントロメア蛋白(centromere protein ;
CENP)が存在し、ACAの対応抗原として、CENP-A(17kDa)、B(80kDa)、C(140kDa)の3種類が知られている。このうち、CENP-Bは、ACA陽性血清のほぼ全例にて陽性となる主要抗原である。本抗体は、強皮症のうちでも軽症型であるCREST症候群の患者に、高率に検出されることが知られている。一方、重症型のPSSにおいては、抗topoisomeraseT抗体(抗Scl-70抗体)の陽性率が高く、またACAと共存することもほとんどないため、強皮症の病型分類に当たっての参考データを得ることがACAを検査する目的である。Raynaud症候群や原発性胆汁性肝硬変(PBC)においてもACA陽性率が高く、これら疾患の診断における参考データを得る目的がある。
適応疾患:PSS ・ Raynaud症候群 ・ 原発性胆汁性肝硬変(PBC) ・ ルポイド肝炎
測定方法: FEIA法
測定機器: ImmunoCAP 250(平成21年12月22日より)
EVOLIS(日本バイオラッド(株))(平成21年12月21日まで)
BEPIII(平成17年12月28日まで)
測定試薬: ユニキャップエリア(ファディア株式会社)(平成21年12月22日より)
MBL(平成13年4月2日より改良試薬に変更〜平成21年12月21日まで)
機種変更相関、一致率
従来法との一致率(平成21年12月22日)
y=0.914x + 0.869 r=0.998 n=19、 100%(平成17年12月28日)
従来試薬と改良試薬の一致率(平成13年4月2日より改良試薬に変更)
抗セントロメア抗体 従来試薬 | ||||
+ | +- | - | ||
改良試薬 | + | 37 | 0 | 0 |
+- | 0 | 0 | 0 | |
- | 1 | 1 | 34 | |
n=73 一致率 97.2% |
基準値: <
7 :陰性、7〜10
:判定保留、>10
:陽性(平成21年12月22日より)
10.0 index 未満(陰性) 16.0 index 以上(陽性)
(平成21年12月21日まで)
10.0 index 未満(陰性) 20.0 index 以上(陽性)(平成13年3月31日まで)
採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管
関連項目
ANA
抗topoisomeraseT抗体
抗ミトコンドリア抗体