抗ミトコンドリア抗体,AMA(anti-mitochondrial antibody)
 

測定法:FA法

外注会社:SRL(平成17年6月16日より)  SBS(旧住友)

臨床的意義
 ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial antibody:AMA)は,原発性胆汁性肝硬変(primarybiliary cirrhosis:PBC)の診断に用いられる疾患特異性の高い自己抗体である。AMAの対応抗原はその局在や酵素処理に対する反応性などからM1〜M9までの亜型に分類されており,PBCに特異的な抗体は抗M2,M4,M8,M9抗体である。特にM2抗体は陽性率が最も高く,診断的価値のある抗体である。検査法として,AMAはラットのミトコンドリアの豊富に存在する組織(腎,胃)の凍結切片を用いて,間接螢光抗体による検出法が汎用されている。抗AMAの一部にPBC以外の疾患(早期梅毒,一部の膠原病,薬剤性肝障害など)でミトコンドリアに対する自己抗体が陽性の場合がある。AMAの対応抗原タンパクの一つであるがpyruvate dehydrogenase(PDH)複合体に対する抗ミトコンドリアM2抗体(PDH抗体)の測定がPBCに特異的に,固相酵素免疫測定法(ELISA法)で行われるようになった。厚生省難治性の肝炎調査研究班による診断基準では,肝生検による組織学的な裏付けがなくとも,臨床的にPBCが考えられ,AMAまたは抗PDH抗体が陽性であればPBCと診断してもよいとしている。

適応疾患: 原発性肝汁性肝硬変・慢性活動性肝炎・薬剤惹起性肝炎 

基準値: 20 倍 未満

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

検体採取・測定条件
・早朝空腹時に採血した血清を用いる必要がある。乳び血清はFA法の場合非特異反応の原因となる。(EIAは影響をうけない)
・FA法は非特異的に陽性を示すことがあり,さらにほかの細胞質抗体(ミクロソーム抗体やリボゾーム抗体など)と鑑別する必要がある。

関連項目

抗マイクロゾーム抗体
抗リボゾーム抗体
抗平滑筋抗体
抗核抗体

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