抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体) Anti glomerular basement membrane antibody
平成23年12月28日より院内実施(平成23年12月27日までSRL)

臨床的意義
 動物モデルにおいて、抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)が腎炎を惹起させることが馬杉腎炎をはじめとして多くの研究者により証明されている。ヒト腎炎においても、抗GBM抗体が関与していることが1967年Lernerらにより示され、腎炎が自己免疫疾患としても注目された。抗GBM抗体が関与するものの多くは、形態学的に半月体形成性糸球体腎炎の像を呈し、臨床的には急速進行性腎炎症候群(RPGN)の経過をとり急速に腎死に至る予後不良の腎炎である。また、そのうちの約半数の症例が肺胞内出血を伴うGoodpasture症候群である。近年、抗GBM抗体について研究が進んでいる。基底膜の構成成分であるtypeWcollagenのα3鎖のNC1部分が、Goodpasture抗原とされた。何らかの誘因により隠れていたこの抗原(hidden antigen)のepitopeが露出し、自己抗体が作られることが想定されている。血中の抗GBM抗体の検出は、抗GBM抗体腎炎の早期診断と治療の指標として必要な検査である。疾患における抗GBM抗体の関与を知る目的で行う。腎生検によって、GBMに免疫グロブリン、補体成分の線状の沈着が証明され、患者血清中に抗GBM抗体が証明されれば抗GBM抗体腎炎と診断される。しかし、抗GBM抗体腎炎はRPGNの臨床像を呈することが多く、腎生検の施行は困難なことがある。抗GBM抗体の検出と腎生検組織の線状パターンとが有意な相関を示すことが知られており、抗GBM抗体の検出は診断に不可欠な検査である。また、経時的な測定は治療や経過観察の重要な目安となる。特に、Goodpasture症候群では有用なことが知られている。

異常値を示す疾患
高値疾患:
Goodpasture症候群 

測定法:FEIA法(平成23年12月28日から)
     
ELISA法(SRL)

測定装置 :
ImmunoCAP 250(ファディア株式会社)(平成23年12月28日から)

測定試薬 : ユニキャップ エリア(平成23年12月28日から)


基準値: 7.00 U/ml  :陰性7.0010.0 U/ml :判定保留、>10.0 U/ml :陽性 (平成23年12月28日から)
 
       9 EU/ml 以下(平成23年12月27日までSRL)

一致率
平成23年12月28日
従来法との比較

陰性一致率:88.7%
陽性一致率:100%
一致率:93.7%

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目


MPO−ANCA
PR3−ANCA

先頭に戻る     前ページに戻る