LE細胞(LE現象検査), lupus erythematosus cell (lupus erythematosus cell
phenomenon) 
平成16年4月1日より中止

測定法: 凝血法

外注会社:OML

臨床的意義
 1948年、Hargravesらが全身性エリテマトーデス(SLE)患者骨髄塗抹標本に、均一無構造な紫紅色物質を貪食した好中球を見いだし、LE細胞と名付けた。1949年、彼らはさらにSLE患者血清を正常者の白血球に加えて、孵置してもLE細胞が検出できることを報告し、LE細胞形成にはSLE患者血清中の因子、LE因子が重要であると考えた。その後このLE因子は、抗核抗体の一種であることがわかり、SLEが自己免疫疾患であるという概念の確立の発端となったわけである。in vivoにおいても、LE細胞はまれにSLE患者の心嚢水、胸水、関節液、腹水、脳脊髄液でみられることがあるが、多くの場合、LE細胞はin vitroで起こる現象であり、採血直後の患者末梢血標本にはLE細胞は見いだせず、血液を一時的に放置するか、適当な外力を加える必要がある。LE細胞の形成には、@血清中のLE因子、A細胞膜が傷害された細胞(主に好中球)、B血清の補体活性、C貪食細胞(主に好中球、ときに単球)の4つの因子が必要である。血清中のLE因子は核蛋白であるDNA-ヒストン複合体の不溶性成分に対する自己抗体であり、健常な細胞膜をもつ細胞には侵入できず、損傷した細胞膜をもつ細胞にのみ侵入する。侵入した自己抗体が細胞の核に作用すると、核はクロマチン構造を失い、膨化、均質化し、抗体の結合により核の陰性荷電が遮へいされるため好塩基性を失い、淡い赤色に変化する。これがヘマトキシリン体(LE体)となり、補体の関与のもとに多核白血球がこのLE体を貪食し、白血球の本来の核は辺縁に押しやられ、LE細胞ができる。1998年Smolenらが、LE細胞現象を引き起こす自己抗体がヒストンH1を抗原として認識していることを報告している。SLEは、1982年のアメリカリウマチ学会協会のSLEの分類基準に基づいて診断されている。その分類基準の中の免疫異常の一つにLE細胞がある。LE細胞テストは、その手技の簡便さと診断特異性の高さから、SLEの診断に今も有用な検査法の一つである。

異常値を示す疾患: SLE ・Sjogren症候群 ・強皮症 ・関節リウマチ ・ルポイド肝炎 ・薬物誘発性ループス 

基準値: (-)

採取容器:
OML普通試

関連項目

抗核抗体
抗DNA抗体
抗Sm抗体
抗RNP抗体
低補体血症
抗γグロブリン血症
血沈
WBC
リンパ球
血小板
溶血性貧血
蛋白尿
細胞性円柱

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